第49話 愛奴となった美人秘書

 縛られ、首輪をされた沙也香の身体は変化を始めていた。それは沙也香の肉体が証明をしている。

 縛り始めていると、少しずつ身体が熱くなり呼吸も更に荒くなってくるのがわかる、揺れる乳房の根元を縛れば、沙也香は狂ったように悶える。真一郎は意地悪に沙也香に言った。


「もう止めようか?」

「いや。いやです!」


 いつも冷静な沙也香にしてはめずらしく興奮状態になっていた。その顔を横に振り、拒む沙也香の目は潤み涙目になっていた。


 真一郎は美しい奴隷女となった沙也香の首につけられた首輪に、赤いリードを装着する。カチャという金属音をさせ沙也香の首に巻き付いた赤く長いリードの姿は犬のようだった。


「沙也香、部屋の中を散歩してみようか」

「は、はい」

 手を縛られては歩けない。真一郎は沙也香の縛ってある縄を解いた。


「さあ、四つん這いになってごらん」

「はい」


 沙也香の首に巻いたリードを引きながら、真一郎は歩き始めた。慣れない姿で部屋の中を雌犬のようによたよたと歩く沙也香は、女性社員が羨む秘書の姿ではなかった。


 真一郎に犬のようにリードで引かれ、部屋の中を裸で歩く沙也香をマンションの窓ガラスは妖しく映し出していた。


「見てごらん、沙也香。自分の姿を……」

「は、はい。あぁ……」


 自分が暮らすマンションに写る自らの姿に興奮し、沙也香の太股はヌルヌルとしたもので濡れていた。


「お願いです。逝かせてください」

「我慢できないのかな」

「はい。もう……」

「では、あのテーブルまで歩いてごらん。そこでわたしが後ろからして上げよう」

「あん、嬉しいです」


 沙也香は今までに見たことがないような嬉しそうな顔をしていて、妖しいその顔はまるで娼婦のようだった。


 目が虚ろに潤み、少し開けた唇は半開きで濡れていた。犬が這うようにしてテーブルに来ると、その上に俯せになり、足を開かせれば後ろからの挿入が容易になる。真一郎はテーブルに上体を乗せ、足を開いている沙也香の尻に自分の腰を密着し、グイグイと突き上げるとテーブルはキシキシと音をさせる。


 それに呼応して沙也香の身体はゆらゆらと動いていた。そして彼女は絶えきれず身体を震わせながら甲高い声を出して幾度も果てた。その沙也香の身体に覆い被さるように真一郎は重なっていた。


「真一郎さま……」

「なにかな?」

「こんな沙也香が嫌いになりませんか?」

「いや、もう一人の沙也香を見つけて、もっと好きになったかな」

「嬉しいです。今度は誕生日でなくても、来て頂けますか?」

「勿論だよ。沙也香が誘ってくれたら、いつでも」

「あん、嬉しいです」


 真一郎のものはまだ沙也香のなかに収まっている。彼がグイグイと押し込むと沙也香が再び感じ始め、締め付けるとそれが真一郎に伝わる。再びピストン運動を繰り返す二人は時間を忘れていた。

 

 真一郎はベッドの中で沙也香を抱きながら聞いた。

「どうして君はこういうことに、いつからかな?」


「あん、中学生の頃ですが、父の書斎で父がいないとき偶然みつけてしまったのです、あのような雑誌」

「えっ、お父さんが……」

「はい、どきどきしてしまいました、その雑誌をみながら身体が震えていました」

「女の人が縛られて恐かったから?」


「いえ、それとも違います、自分がその女性になったような気がしたんです、それから時々、こっそりと……」


「お父さんがいないときに見ていたんだね」


「はい、その雑誌の他に、写真集もありました。或る日、お父さんが仕事で泊まりの日に、その本を自分の部屋に持って来て、それから……」


「自慰でもしたのかな?」

「は、はい、恥ずかしいです、真一郎さま」

「いままで、誰かにそういうことをされたことは?」

「ありません、心の中にしまっておきました、でもいつの間にか、大人になって」

「自分で買うようになったんだね」

「どこで? 買うのには度胸がいるでしょう、沙也香ちゃん」

「はい、ですから……ネットで……」

「なるほどねえ」


「真一郎さま、もっと縛って! 沙也香を虐めて下さい!」

 その夜の沙也香は別人だった、真一郎は彼女の求めに応じていた。

 幾度となく逝かされた沙也香は、手を縛られたまま彼に抱かれていた。

 その顔は官能に酔いしれていたが、嬉しかったのか彼を見つめる瞳からは熱い涙が溢れていた。



 外の世界は月が目映まばゆいほど光り輝いている。

 その夜、真一郎は沙也香のマンションに泊まった。


 次の朝、真一郎が目を覚ますと、彼女はキッチンに真一郎の朝食の準備をして、既に出勤をしていた。


 彼は沙也香の作った朝食をすませ、会社に出勤した時、沙也香は何もなかったように微笑み、いつものように優秀な秘書になっていた。


 しかし、彼女の手首には縄の痕と、首にも細い一筋の痕ができている。それに気が付いた沙也香の後輩の女子社員が言った。


「あら、先輩、その首についている痣、どうしたんですか」

「うん、ちょっとね」と手で軽く押さえ明るく微笑んでいた。


 その後、沙也香はワンルームマンションを引き払い、真一郎が買い上げてくれた広いマンションに移った。当然、そこに、ときどき真一郎が訪れようになった。


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