第23話 つまらないのは嫌いなの

ぽつぽつと弱く降る雨の中私とリートは街の中を歩いていた。こんな日は人間が居ないから人間を狩ることは出来ない。


「……雨は好きだけれど人が居ないのはつまらないわね」


「人間は雨が降ると外に出たがらないそうなので。」


「あぁ……そうだったわね。」


そんな事を話しながら歩いていればツンと鉄の匂いが微かに香ってきた。あぁこれは血の匂いだ。私はその匂いがする方向へ歩を進めればそこには血を流している見知った人間が居た。



「……お前は……」


「あら。血の匂いがしたから来てみれば……その傷、混血にやられたわね神父さん?」


「っ……煩い。用がないなら消えろ」


「……その血の量。人間だったら死ぬわよ。」


ふと視線を下にしてみれば彼の腹部は赤く染っておりそこから出血しているのは明らかだった。私は小さくため息を吐き彼の側へしゃがみ込んだ。


「リート。彼を屋敷へ。止血と手当くらいはしてあげましょう」


「っ……断る……!誰がお前らなんかの……」


「黙りなさい。その状態で教会の本部に戻れるとは思わないわ。」


「お嬢様の言う通りにしていろ人間。まだ死にたくないのならな」


リートは軽く睨みながらそう告げたあとため息を吐いた。その言葉を聞いた彼はこちらを睨み返したあとそのまま意識を手放した。


「全く……人間ってこうも強情なのかしら。」


「……人間にもよるかと。お嬢様汚れますので止血は私が。」


「……そうね。止血が終わり次第彼を屋敷へ。客人用の部屋に寝かせておいてあげなさい」


「畏まりました……ですがお嬢様。なぜこの人間にそのような事を?捨て置けばよろしいかと思われますが……」


リートの言葉で私は少し考えた。確かにリートの言う通り人間なんて捨て置けばいい。私もそう思う。でも私は立ち上がり小さく笑みを浮かべた。


「リート。私はつまらない事が嫌いなの。彼に死なれちゃつまらないじゃない」


そう言って私は屋敷の方向へと踵を返した。

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