背中からチンコが生えてきた話
レベルNデス
背中からチンコが生えてきた話 その1
うんんん…?
な、なんだか背中に違和感があるんだけど…。
今日は中間試験が終わった後の土日休み、その朝。せっかくの快眠を妨げないで…と思いながらも、身体の不調には逆らえない。
しかも、なんだか違和感があるだけでなく、痛みも感じ始めてきた。
まるで鼻の先を圧迫されるかのような感触がするので、我慢できずにベッドから起き上がる。
そしてすぐさま、手を後ろに回し、違和感の正体を突き止めようと背中を探ってみると…。
生えていた。
なにか、キノコを思わせる形をしたものが。
しかし、キノコよりも程よく硬い感触がある、これは…。
「おお、起きたか嬢ちゃん」
「!?」
鼻にかかったような少し高めの声で、誰かが自分にお目覚めの挨拶をしてきた。その声には聞き覚えが無く、少なくとも家族や親戚に似たような声の持ち主はいないはずだ。
急いで周りを見渡すが、当然自分の部屋の中に知らない誰かがいるということはなかった。
背中に感じる謎の違和感と正体不明の声、その声がどこから聞こえてくるのかがわからないという複数の事象が同時に襲い掛かり、私はパニックに陥り、急いで部屋から出ようとドアに近づこうとした。
しかし、パニックになっていた自分は足がもつれてしまい、そのまま背中から床にダイブしてしまい…。
「痛ったあ!」
「ぐおあああああああ!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅ!」
え?
なんか一人分悲鳴が多いんだけど…。
まさか謎の声の主の上でこけてしまったのかと思い、すぐさま起きて自分の真下の床を確認する。
しかし、そこにはいつものフローリングの床が広がっているだけで、人の形をした何かは見当たらなかった。
じゃあ、なんであんな悲鳴が…?
「おいおいおい、チンコから床に衝突する奴があるかあ!マ、マジで折れるかと思ったわ…」
…こ、これは。
何かを察した私は自分の背中をもう一度探ってみた。
やはり、背中のちょうど背骨の真ん中あたりから何か突起物が生えているかのような感触があった。
長さは…10センチ以上はありそうだ。
今までの状況から考えるとたどり着く結論はあまりにも現実からかけ離れている話で、到底私には受け入れられないものであった。
何か他の可能性がないか探っていると、しばらく無言の時間が過ぎていく。
しばらく続いた沈黙から同じく何かを察したその人物…いや、その突起物はどこにあるのかわからない口を開いた。
「そんなに恐いか?チンコが生えるのが!(ドン!)」
「チンコが生えることじゃなくて、その場所が問題なんだよ!」
しかもなんでチンコがしゃべるんだよ!
この信じがたい状況をようやく吞み込んできた私は(理解したくないけど)、ツッコミができるくらいには落ち着きを取り戻していた。
そして、唯一この状況が何なのか知っているであろう当の本人、いや本チン(?)に今感じている疑問を全てぶつけることにした。
「まず、これはどういう状況なわけ?なんで私の背中からその…おしゃべりチンコが生えてるわけ?」
「あー、まあ俺もわけもなくお前の背中に映えてるわけじゃねえしな、その理由を教えてやりたいんだが…。あまり深くは教えることはできん」
「はい?あんた、今の自分がどういう立場なのかわかってるわけ?いわば、寄生獣よろしく背中から生えてるだけの存在なんだから、切ろうと思えばいつでも切れるんだからね?」
「脅しているつもりだろうが、それはあまりおすすめしないな。さっき背中からこけたときのことを思い出してもらえば分かる通り、俺らは痛覚を共有しているからな。しかも俺はお前の脊髄に寄生している。安易に切ろうとすると命に関わるぞ」
「じゃ、じゃあ病院に行って摘出してもらわないと…」
「あのなあ、こんなお喋りチンコなんてものを医者に見せたら、前例がないってことで研究材料にされるに決まってるぞ」
「それは、あんたが黙ってればいいだけの話で…。それで、そのまま手術してもらえば」
「アホか。そもそも、背中からチンコが生えるってこと自体がイレギュラーだってことを忘れんな」
そ、そうか…。
今置かれている状況を深く考えてみると、自分が優位に立っているように見えてこの状況を打破する方法が一つもない…。
いや、研究されることを受け入れて病院に向かうのが一番得策なんだろうけど、それはさすがに…なんかいやだ。
背中からチンコが生えてる初めての事例になるっていうのは極力避けたい…。この案は究極まで追い詰められたときまで取っておこう。
そういえば、そもそもこいつが私に寄生…って言ってたけど、なんで私から生えてるのか…。まあ、それは後でいいか。
とにかくこの状況から早く抜け出して、普通の日常に戻りたい…。
「そういえば、お互い呼び合うときに名前が無いと不便だな…。よし、俺の名前はペニーってことにしてくれ。もちろんペ〇スをもじったものだな。さっき寄生獣の話が出てきたから、それつながりで」
「チンコにふさわしいほどのネーミングセンスの無さだわ…」
「あー、お前の名前はチヒロだろ。記憶を共有しているからすでに知っている。記憶を共有した方が楽だからっていう理由で、そういう風に作られてるからな」
なるほど、記憶を共有しているから寄生獣の話が出てきてもすっと会話ができたのか。
それと、なにかこいつ気になることを言ったような…。
「まあ俺は目的があってお前に寄生しているわけだが…、お前がこれからどうするかはお前次第だ。脊髄に寄生しているとはいえ、お前の身体を操れるようには設計されていないのでな。安全を考慮してのことらしいが。とにかく、お前が俺を邪魔だと思うなら、頑張って俺を消してみるんだな。ククク」
「そ、そりゃあ当然あんたを切り離す方を選ぶよ!でも、じゃあいったいどうすればいいわけ?」
正直、こいつを安全に切り離す方法はもはや考えられない。
しかし、ペニーはすべてを知っているような口ぶりなわけだから…。こいつに改善策を教えてもらうしか道が無いように思える。
「ねぇ、お願い。どうすれば私はいつもの日常に戻れるの…?早くあんたから解放されたい」
「ククク、それなら風俗に行ってみたらどうだ?文字通り、抜いてもらうってやつだよ。ガハハ」
「は、はぁ!?でも私未成年だし、こんな身体で行ったら通報されて終わりでしょ…」
「そんなの、どこへ行っても同じだろ。外を歩こうにも、背中の一部分だけ常に突っ張ってるんだぞ。服の上からでも一発でバレるさ。それなら、俺のこの冗談みたいな提案に乗る価値はあるんじゃねえか。もしかしたら、射精したら俺が消滅する仕組みになってるかもしれねえしな。ククク」
クソ、なんて最低で屈辱的な提案なんだ…。
でも、もしかしたら、少しでも可能性を感じるならなんでもやってみるしかない。どうせ、何をしようにもこの背中から生えたチンコを公にせざるを得ないんだし。
「ねぇ、風俗ってどれくらいお金が取られるものなの…?」
「あぁ?知らねぇよ。俺はお前が知っている情報以上のことを知ることができねえんだって」
ということで、私は真昼間からエッチなお店に行くことにした。
そういうお店のデビューがこんなきっかけになってしまうなんて…最悪だ。
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