本当は怖い異世界転生
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第1話、転生病。
【内務省警視庁衛生部直轄、『転生病監察医務院』にて】
「──お願いだ、俺が早く異世界に転生して、助けてやらなくちゃ、今も文化レベルが著しく劣っている異世界においては、奴隷のケモノミミの女の子たちが、虐げられて苦しんでいるんだ! 俺をここから出してくれ! 俺は正常だ! 狂ってなんかいない! 妄想癖なんかじゃ無い! 中二病でも無い! ゲーム脳なんて言いがかりだ! 俺を今すぐ異世界に、転生させてくれえええええええっ!」
「……最低。私、東京府立の看護学校を卒業して、この病院に配属されて、まだ三ヶ月ほどしかたっていないんだけど、引きこもりで社会不適合者の『転生病』の患者たちって、どいつもこいつも判で押したように、この現実世界にまったく適合できなかったくせに、異世界転生などという夢物語ばかりを追いかけ続けて、別の世界で生まれ変わりさえすれば、すべてがうまく行くなどと、甘い考えで凝り固まっていて、現実逃避もいいところよねえ。しかもそんな妄想上の異世界における『救世主w』としての、自分だけのハーレムメンバーの中には必ず、自らの手で解放してやった奴隷出身の獣人等の下等種族の女の子を入れることによって、自分よりも立場の下の者に、自分に対する恩義と忠義心を植え付けさせて、絶対的な支配下に置いて言うことを聞かせようとするといった、もはや心底あきれ果てるパターンばかりであり、まさにこれって、この現実世界においては、自分と対等な立場の女性に対しては、満足にコミュニケーションをとることもできないという、哀れな男どものコンプレックスの裏返し以外の何物でも無いのよねえ。……ほんと、せっかく帝都で就職できたというのに、嫌な職場に赴任してしまったものだわ。むしろ異世界に転生したいのは、こっちのほうよ。確かにこんなふざけた思想を持ったやつらを、実社会に野放しにしておくわけにはいかないわよね。このまま『監察入院』という名目で拘束しつつ、時機がきたら各種の実験において『献体』として、せいぜい社会に対して
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