大切なものを盗んでいく強敵に僕らは何ができるのか? うばわれた力、チームでとりもどせ!〜東堂兄弟の冒険録外伝〜

涼森巳王(東堂薫)

プロローグ

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 僕たちの勇者は美形だ。

 そんじょそこらの美形じゃない。超絶カリスマ絶世の美女的美形だ。


 白絹のごとき、なめらかな肌。つややかな黒髪。瞳は淡いブラウン。完璧に整った美貌は長いまつげをバサバサさせるだけで、人間もモンスターも魅了するほどだ。


 その名はロラン!

 ミルキー国の王子様でもある。


 あっ? 僕? 僕はただの勇者の友達だよ。現世から女神さまに召喚されてしまった。どうも夢を見てるときの睡眠中の意識がこっちに呼ばれてるっぽい。

 半年間ぶんくらい夢を見て、目がさめると三十分しかたってなかったりするんだよね。


 そんなこと、今はいいんだ!


 薄暗い洋館の廊下を進んでいく。このさきに、魔王の四天王がいるかもしれないって情報をつかんだからね。


 ギシギシ……ギイ……ギシギシ……。


「けっこう、きしむね」

「しっ。かーくん。このさきから強い気配がします。ボスがいますね」


 ロランのスキル、危険察知だ。ダンジョンの存在やボスの位置、レベルなどがわかる。


 いよいよボスか。この屋敷、さほど強いモンスターも出てこないし、楽勝かな?


 ところが、そのときだ。

 先頭を歩くロランが、とつぜん「あッ」と大声をあげた。


「どうしたの? ロラン? なんかふんだ?」


 いやいや、そんな、道端じゃないんだから、犬のウ〇コが落ちてるわけないじゃないか。ダメだなぁ、かーくん。えへへ。


 一人ノリツッコミをしてる僕の前に、くるりとロランがふりむいた。僕の持つカンテラがその麗しいおもてを……ん? 麗しい……? あれ?


「猛。僕の目がおかしいの?」


 猛は僕の兄ね。パーティーメンバー。


「いや、かーくん。おかしくないぞ」

「やっぱり、そうだよね?」

「そうみたいだな」

「……」

「……」


 ロ、ロランの麗しい顔が、のっぺらぼうにー!

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