Guilty Alice リメイク
あずきもち
第一章 ヒナクスダンジョン攻略編
第1話 ヒナクスの街
1000年前突然と姿を現した天空へと続くダンジョンとこの地上のヒナクスの街。これはそのダンジョンの一番上を目指し奮闘する一人の少年のお話である。
「よし、今日は二層目の攻略かな」
こんな堅いベットじゃなかなかちゃんと眠れないけど休めるだけまだいいかと思いながらダンジョンへと向かう。
「回復のポーションと食料だけ買わないとな。あ、でもあんまりお金もないしなあ」
とりあえずいつもの雑貨に顔を出す。
「おっ、兄ちゃんまだ生きてたか。」
「うるさいなぁ。まだ頑張ってるよ。」
ガタイがいい店の店主に一応の挨拶をしておく。
「おはよう。憐也」
「おはよう。ミズキ」
「これもってって」
「ありがとう。」
この子は俺と同じくらいおそらく見た目から17歳くらいであることが見て取れる。いつも貴重な食料である弁当をくれる。
ある程度回復のポーションを買って
「じゃあ行ってくるよ」
今日も長い一日が始まる。
「きっついなあ」
疲労感満載の体に鞭打って人型のモンスターと戦う。
最初はこのダンジョンを攻略することを目標にがんばっていたが、いまでは毎日生きるのもギリギリなくらいだ。
生きていくには、宿に泊まったり食料やポーションを買ったりするお金が必要なのだが、この世界では商売をする以外に、このモンスターを倒すことによって出てくる赤い水晶のような魂の欠片をお金にすることが出来る。
まだまだ気を抜かなければ苦戦する相手ではないが、その分欠片も少なくなる。
「この剣もそろそろ替え時かなぁ」
手に持つ二刀の短剣を見つめる
この剣ははじめてこの町に来たときに朝の雑貨屋で買ったものだ。雑貨屋で買ったくせに意外に手になじんで使いやすかった。
ダンジョンを攻略している人は武器として剣や魔法、ハンマーやノコギリなんかも使っている人がいる。要は敵を倒せれば何でもいいのだ。
今日も今日とてダンジョンに潜って人型のモンスターやスライムのモンスターと戦う。もちろん気を抜くと死んでしまうこともあるので気をつけなければならないが人型のモンスターの斬りつけ攻撃が当たらなければ大丈夫だろう。
「そろそろマップを見るに、三階層が近そうだな」
二階層で大分戦ってきたが、そこまで苦戦しなくなってきてる。そろそろ降りても大丈夫だろう。そんな軽い気持ちだった。
三階層に続く、階段を上ると二階層とは違う雰囲気を感じ取れた。三階層は最初の難関と言われていて、初心者の攻略者や出稼ぎに来ている人が一番死んでいるらしい。
「ギアァァ」
なんだと思ったが、二階層と変わらない人型のモンスターだった。戦ってみてもそれほど苦戦していない。思ったより楽じゃないか、そう思った時、人型モンスターの後ろから緑の弾丸が撃ち出されてきた。
「う、、、」
その弾丸は右足を掠め、血が出ている。
どうやら人型モンスターの後ろにもう一体同じ奴がいる。ただそいつは魔法を使って俺に攻撃して、何より連携を取ってきた。
「だから、人が死ぬのか、、」
手前の奴から倒そうにも俺の剣じゃ火力が足らないし、ちまちま斬っても後ろからの弾丸で踏み込めない。幸い準備してれば避けれない早さの弾丸ではないがこっちも戦いが長引くと集中力が切れそうだ。
そんな矢先、二体相手取って疲労が先に来たのか、弾丸を避けきれず脇腹に当ててしまった。
「ここまでなのか、、、」
俺もここで死んでいくのだろうか。こんな再序盤で誰の目にも触れず、、、
せめて最後の一撃思いっきり放ってやろう、、、
「はぁ!」
「ギェェェェェ!」
一体居なくなった。そのまま後ろの奴の勢いのまま斬り刻んで倒した。剣先に炎を纏った気がした。
「やったのか、、、」
まあでもすぐに俺も死ぬんだろう。そう思って目を閉じた。
「おい!大丈夫か!」
「まだ息はある。運ぶぞ!」
「おい、大丈夫か!」
「う、、、、」
「目が覚めたか、よかった!」
「俺は、、、、、。」
「ダンジョンで倒れてた所と運んできたんだ」
「生きてるのか、、」
「ああ、だがまだ動かない方がいい。傷が癒えたわけではないからな。」
まだ体が痛いが動けないほどではなさそうだ。
「あなたは?」
「私はラビア。ミカエレギルドに所属してる。」
名前は聞いたことはある。この町で一番有名なギルドのトップ攻略者集団のひとりだったはず。
「たまたま、あそこを通りかかったら血だらけで倒れてたからな。さすがに助けないわけにはいかないだろう。」
「ありがとうございます。」
「君の名前はなんて言うんだい。」
「憐也です。」
「憐也か覚えておこう。三階層から先はきちんと対策してからいくことをオススメする。ではまた」
ダンジョンは進めば進むほど難易度も高くなる。だからギルドに所属してパーティを組んで攻略することが多い。
「ただ組む相手もいないからなぁ。」
しかし、あの時は何が起こったんだろう。確か剣先に炎を纏ったような、、、、
「スキル確認してみるか」
スキル一覧
覚醒 何かのスキルに突然目覚める確率が上がる
炎舞えんぶ 剣に炎を纏って攻撃する。
攻撃力上昇
火属性
「スキルが増えてる!?」
「炎舞か、、。このスキルに助けられたんだな。」
この傷が癒えたらもっと強くなれる気がした。
傷が癒えてからはまず街にある古びた図書館で3階層のモンスターについて勉強した。
「基本的には、3階層から連携攻撃や魔法攻撃がくるのか」
そういえばあのときも、連携攻撃や魔法攻撃で追い詰められたな
「対策としてはパーティを組んで分断して倒すことか、、。」
んーーーパーティか、あんまり好きじゃないんだよな。
いろいろ気を遣いそうで。
「あのー。そろそろ閉館時間なので、、」
「え、、、」
突然、埃っぽい本棚の隙間から声をかけられたので驚いてしまった。
「あ、すみません。もう出ます。」
そんなに時間が経ってたか。
随分と長い時間考えてたんだなぁ。
次の日、とりあえず2階層でこの前習得した炎舞を使ってみることにした。
「炎を出すイメージで振り抜く!」
「っと、ちゃんと出たな」
2階層のモンスターに対する火力は十分そうだ。
おかげでいつもよりたくさん狩ることができた。
「よしよし、これならお金も貯められそうだ。」
と思いつつ帰路に向かう。
もう危ない三階層行かなくてもいいんじゃないか。と思いつつ
「そこのあなた、少しいいですか!」
ん?俺のことか?
いや、それはないだろう。
きっと聞き間違えだ。疲れてるのかなぁ。
「ちょっとってば!」
やっぱり俺のことらしい。
めんどくさいなあと思いつつ反応することを決めた。
「なんですか、、」
「さっき魔法攻撃してたでしょ!」
炎舞のことか?まあ炎は出てるし一応魔法攻撃ではあるのか、、、。
「それがなにか、、」
「この辺の低階層で魔法攻撃出来る人なんて早々いないのよ。決めた!私とパーティを組みなさい!」
ほーらめんどくさい。
「嫌です。それじゃ」
「なんでよ!」
だって名前も知らない相手にいきなりパーティ組めって言われても嫌じゃん。
「だってめんどくさいんですもん。一人で十分二階層でお金は貯めれるし、生活にも困らないからパーティ組む必要ないですし。」
「あなた、出稼ぎにこのダンジョンに来てるの?」
そういえば最初はこのダンジョンの頂上に行くのが目標だったな。
ただ、3階層は一人で行くには厳しいし、パーティ組んだとしても遠距離攻撃出来る奴じゃないと意味なさそうだしなぁ
「いいや、ダンジョンの頂上に行くためだった。ただ、3階層で死にかけて進めなくなった。」
「そう。あそこからは一人じゃ厳しいもの。」
「ああ、俺はほとんど近距離専門だし、遠距離攻撃出来る奴がいないと厳しいな。」
「それならいるわよ、ここに」
こんな低階層のどこにそんなちょうどいい奴がいるんだろう。そんな奴はどこのパーティにも引っ張りダコだろ。普通。
「私よ!私!」
はあ、何を言っているんだろう
「ちょっとみてなさい!」
そこに現れたスライム型のモンスターを指さす。
「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け!」
ん、何か言い始めたぞ。
「フロストスピア!」
そう唱えると、氷の槍がスライム型のモンスターのモンスターを貫いて、魂の欠片を転がした。
「おお、魔法か。凄いな」
「そうよ!」
「そんな魔法があるのになんでパーティ組もうとするんだ?」
「あなた馬鹿なの?詠唱してる間に敵に殺されちゃうわよ」
初めて会った少女に馬鹿呼ばわりされてしまった。考えてみるとごもっともなので反論はしない。えらい。
「なるほどな。でも他にパーティ組む人なんていくらでも居るんじゃないか?」
「そうね。あなたが私とおなじ独りぼっちそう、、、じゃなくてたまたま近距離戦闘出来る人が見当たらなかっただけよ」
あいつ独りぼっちだったのか、、
「わかったパーティを組もう。」
「よし!決まりね!とりあえずこれから毎日、朝、街の噴水前に集合ね!」
「とりあえず名前を教えてくれ。」
「まだ言ってなかったわね。ごめんなさい。マリンよ。」
「俺は憐也だ。よろしく。」
「珍しい名前ね。明日からよろしく!じゃあね!」
もしかしたら根はいい奴なのかもしれない。
憐也スキル一覧
覚醒何かのスキルに突然目覚める確率が上がる
炎舞剣に炎を纏って攻撃する。
攻撃力上昇
火属性
物理属性
マリン スキル一覧
フロストスピア発動キー「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け」
氷属性
魔法属性
「おはよう」
昨日はダンジョンの中で薄暗いし疲れてたしであんまり顔を見れてなかったが、普通に美少女で驚いた。
少しピンクがかった髪にキリッとした目、かわいらしい声。なんでこれでパーティが組めないのか本当に不思議だ。
きっと悲しい事情があるんだろう。多分。
「おう、おはよう」
「さあ、早速三階層の攻略始めるわよ!」
そうしてやってきた三階層の攻略は驚くほどスムーズだった。二体相手が来ても、マリンが後方の敵を牽制、その間に炎舞で一体倒し、その後二体目を集中砲火して倒す。魔法を使わない敵に対してはマリンが魔法で一掃するという形で余裕で突破できた。
「一度休憩にしましょう。」
「そうだな」
ギルドが、攻略した各階層に用意してある簡易休憩所で昼食を摂ることにした。
「あら、あなたお弁当なの?」
「ああ、毎日作ってくれる人がいてな」
「それは幸せ者ね」
袋を開けるとたまごや野菜などが入ったサンドイッチと果物が入ったサンドイッチが入っていた。
「マリンもお弁当じゃないか」
「ええ、私は自分で作っているけどね。」
マリンの弁当箱には色とりどりの野菜に卵焼き、ご飯が入っていて美味しそうだった。
「午後はどうする?」
「そのまま、四階層まで進みましょう。このペースで進めばいけるはずよ」
そうして俺たちは四階層まで足を進めることになった。
マリンと四階層まで降りてみたが四階層は三階層と特に変わらず午前中より連携もうまくいって進むことができた。
「今日はここまでにしましょう」
「ああ、欠片は山分けだな」
山分けにしてもいつもより随分数が多い。やっぱり階層が上がると欠片も多くなるらしい。
そろそろ新しい装備も買えそうだ。
一週間くらい3階層と4階層を中心にモンスターを倒し、欠片を集めマリンと決めた休養日に俺は新しい装備を買いに来ていた。
「おじさん!なんか良い剣ないか!」
「来ていきなり良い剣ないかっていわれてもなぁ」
新しい装備とはいえお金がたくさんあるわけではないので、とりあえずいつもの雑貨屋に来てみた。
この雑貨屋は一応剣や防具も置いているので何かしらあるだろう。
「これなんかどうだ。重くて良い剣だろ」
「いや、少し重すぎるな。もう少し軽いのが欲しい」
「そうだなぁ」
「憐也、これは?」
ミズキが店の奥から今まで使っていた剣よりリーチが少し長い二刀を持ってきた。
「おお、いいじゃん!おじさん、これにするよ」
「おおそうか。えっとそれはいくらだったかな」
在庫管理くらいしっかりしろよな。まったく。
「8000セルだ。」
「わかった。これでいいか。」
8000セルは痛手だが、必要経費だ。仕方がない。
「毎度あり。また頼むよ~」
「はいよ」
「ふう、あいつは行ったか。」
「そうみたいだね」
「でもいいのか、ミズキ。あの剣大事なものだろう」
「お母さんがくれた剣だからね。でも憐也に死なれたくないんだ。」
「そうか、、」
「うん。もう私の大切な人にいなくなって欲しくないから。」
「あら、あなた。剣を替えたの?」
次の日、ダンジョンにでるとマリンが俺が買った剣に気づく。
「ああ、大分刃こぼれとかしてたしな」
「そうなの。凄く綺麗ね」
そう言ってマリンはダンジョンの光に照らされた二刀を見る。
「大事に使っていくよ」
この日も四階層の探索を無事に終え、帰路に向かう。
やはり剣の性能が良くなるとスキルの力も上がるらしい。
サクサク敵を倒すことが出来た。
「明日はいよいよ5階層に行くわ」
「5階層か、、」
「知っていると思うけど、このダンジョンには5階層ごとにボスがいるわ。今はギルドが倒してくれていていないとは思うけど、一週間で復活するから気をつけないとね」
「そうなのか?ボスがいるなんて初めて知ったな」
「少し勉強不足なんじゃない。あとボスのいる階層に降りる予定があるときは行く前に換金所に報告に行く必要があるわ。」
「どうしてだ?」
「ボスが復活していたら教えてくれるし、大きなギルドが倒すまでは行かないことをオススメされるわね」
「ボスがいるのかいないのかを把握することは大事だな。」
「私たちじゃまだボスに勝つのは不可能ね。力が足りなすぎるし、人数も少なすぎるわ。一流の攻略者だったらこの階層のボスは1人2人で倒してしまうのだけど。」
「今はどこまでこのダンジョンは攻略されてるんだ?」
「30階層までね。それでもまだまだ下の方みたいよ。」
「先は長そうだな。」
「ええ、とりあえず今日はゆっくり休みましょ」
「そうだな」
この不気味な天空に続くダンジョンの恐ろしさはまだまだ感じ取れていないのだった。
「これから五階層に行きたいんですけど、、」
俺は換金所の職員に朝早くから報告に来ていた。ちなみにマリンはいない。準備に時間がかかるそうだ。
「五階層ですね。現在、ボスが復活したという報告はありません。倒されてから4日なのでまだ大丈夫かと思います。」
「分かりました。ありがとうございます。」
マリンと合流する前に、一度雑貨屋に装備を整えに行くことにした。
「おじさん、今から五階層に行ってくるよ。」
「五階層!?ボスフロアじゃねーか!大丈夫かよ。」
「大丈夫だよ。今ボスはいないみたいだし。」
「そうか。なら大丈夫か。」
「ところでミズキは?」
「ん、でてこねーな」
おーい、ミズキ!とおじさんがよんでも出てこない。
まあ、そういう日もあるだろう。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「気をつけてな」
「よし、行きましょう!」
ばっちり準備を終えたマリンと合流し、俺たちは五階層へと向かった。
「本当にやるのか?」
ローブをかぶった男が聞く。
「ああ、どうやら今回の覚醒者はあいつのようだ。」
こちらもローブをかぶった男が答える。
「そうか、わかった。」
それだけ言うとダンジョンの闇の中へ消えていった。
「せめて死なないでくれよ」
五階層に降りてきても敵自体はそこまで変わらなかった。
人型モンスターのゴブリンとスライム型のモンスターはそのままスライムという名前のようだ。
コウモリのような姿をしたケリラーという敵が新しく出てきたが、飛びついて吸血してくることに注意すればそこまで脅威でもなかった。
「なんだ、5階層もそんなに苦労しないんだな。」
「ボスさえいなければそんなものよ。基本的にボスは徘徊していて見つかると大変なことになるけど今はいないから安心ね。」
「ボスフロアは珍しい素材も多いから持って帰ればたくさんのセルになるわ」
「それはいいな」
出てくる敵を倒しながら、そんな雑談も出来るようになっていた。
「そこの広場で休憩にしましょ。」
「そうだな」
ある程度狩ったので少し広めに見える広場で休もうと、通路から入っていったのだが、、、
「なにこれ、、、、なんでこんなに人が死んでるの、、」
凄惨な後景だった。ここに来たであろう攻略者の死体が10人以上転がっている。全員に噛みちぎられた後のようなものが残っている。
「なんだあれは、、、」
その死体の山の先に見えるのは体長10メートルはあるワニのような生物だった。
「なんで、、、ありえない。どうして今、アリゲルテルがいるの。まだボスの復活はしてないっていう話じゃ、、」
そのはずだ。換金所の職員のそう言ってた。なのに。
「とにかく逃げましょう!私たちに手が出せる相手じゃないわ!」
猛ダッシュで俺たちは来た道を引き返す。だが、それ以上のスピードでアリゲルテルが迫ってくる。ワニみたいな体のくせに早い。
「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け。フロストスピア!」
マリンがボスに向かって魔法を放つ。
「効いてない!?」
少し速度が落ちただけでダメージはほとんどなさそうだ。
「だめだ。追いつかれる応戦しよう。」
俺も剣を構え、最大火力の炎舞を放つ。
しかし、傷は入ったものの反撃され壁に弾き飛ばされてしまった。
「いてて、、、」
全身に鋭い痛みが走る。
このままではマリンが殺されてしまう。
「ひゃ、、」
今にもボスが襲いかかりそうだ。
俺は全力でボスの前に戻り、斬りかかる。
が、相手の火力が高すぎてこっちだけが削られていく。
「ぐ、、、」
意識がどんどんなくなっていく。
「憐也!」
仲間も守れないのか。こんな弱いままだと。
「天照大神の名の下に希望を照らせ」
「レフェクティオ!」
どこからか詠唱の声がして、俺の体力や魔力が回復した。
「これなら戦える。だけど、、」
今の技じゃ火力不足だ、、、どうしたら、、。
「あなたの剣は2つの属性を付与できるわ!」
2つの属性、、、イメージしろ、、、あいつに勝つ方法を!
「炎雷!」
二本の刀を合わせてボスの顎めがけてひと突き。
ボスは奇声を上げて、消滅し、欠片を落とした。
「倒したのか、、、」
だが一体誰が助けてくれたのか。聞き覚えがある声だったが、、
「ミズキだったのか、、、なんでここに」
「たまたまポーションの素材を取りに来ていて、憐也達が襲われているのが見えたから助けに来たの。」
「そうだったのか、、ありがとう助かった」
「とにかく街に戻ってちゃんと治療してもらって。後ろにいる女の子もつれてね」
少し語尾がいつものミズキより強い気がしたけど、気のせいだろう。
「そうするよ」
いろいろ思うことはあったが、まずは街に帰ることにした。
憐也スキル一覧
覚醒何かのスキルに突然目覚める確率が上がる
炎舞剣に炎を纏って攻撃する。
攻撃力上昇
火属性
物理属性
炎雷えんらい剣に炎と雷を纏って攻撃する。
攻撃力上昇
火属性
雷属性
火事場ピンチになると攻撃力上昇
マリン スキル一覧
フロストスピア発動キー「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け」
氷属性
魔法属性
ミズキ スキル一覧
レフェクティオ 発動キー「天照大神の名の下に希望を照らせ」
周辺にいる人の体力、魔力回復
??? ???
五階層攻略から二日後、俺はいつもの雑貨屋を訪れていた。
「おじさん。ミズキいるか?」
「ああ、いると思うけど」
店の奥からミズキが出てきた。
「どうしたの?」
「この前は助けてくれてありがとう。」
「どういたしまして。助けられるなら助けてあげたいもの。」
俺とマリンだけだと回復スキルがなくて今後厳しいかもしれないな、、
ここでミズキが一緒に来てくれるようになれば戦いが大分楽になる気がする。
「なあ、ミズキこれから一緒にダンジョンを攻略しないか?」
「それはできないの。お店の手伝いがあるから」
「そうか、なら仕方ないな」
まあそうだよな。
「あと、なんでこの剣に2つの属性が付与できるのを知ってたんだ?」
「それは、お母さんの形見の剣だから。」
「お母さんの形見?そんなのどうして俺に。」
「憐也を死なせたくなかったからかな。お母さんは昔一級の攻略者をやってて、でも途中で力尽きたの。そのとき使ってた剣」
「そうだったのか。大切に使うよ」
「うん、またね」
まだまだ強くならないと。そう思った一日だった。
「なにもできなかった、、、。」
二日前のボスとの一戦。憐也が最後倒してくれたけど、私は何もできなかった。ただの足手纏いになってた。
「私の魔法が通用しないなんて」
憐也とパーティを組んでからというもの、ここまで己の無力さを思い知ったのは初めてだ。
「私も強くならなきゃ」
ホテルのベットでそればっかり考えていた。
「でもどうしたら強くなれるかしら。魔法なんて一から覚えようなんて思ったら時間がかかりすぎるし、、誰かの魔法を覚えるにも、教えてくれる人なんて、、、」
そんなことを考えながら、街を歩いていると、
「あれは、、、ラビアさん!?」
有名なミカエレギルドのトップ攻略者の1人の魔道士ラビア、、、あの人なら!
「すみません!少しお時間いいですか!」
「どうしたんだいお嬢さん。あいにくあまり時間がないんだ。手短に頼む。」
「あの、私に魔法を教えてくれませんか!」
「面白いことを言うね。遊びに付き合っている暇はないんだ。じゃあね」
「遊びじゃありません!」
今までにだしたことのない声の大きさがでた。
人と話すのが苦手で、それでも憐也の足手纏いになりたくないし、仲間を守れるようになりたいしで必死だった。
「ほう。どうして魔法を教えて欲しいんだい?」
「強くなりたいから、、!仲間を守りたいからです!」
「そうか、、、。わかった。」
「いいんですか!」
「明日の早朝、ダンジョン近くの時計台に来なさい。話はそれからだよ。」
といって去って行った。最後少し笑っていたような気がする。
こうして、私のラビアさんによる魔法特訓が始まったのだった。
そして次の日の早朝、私は時計台の前に来ていた。
「まともに話したこともないのに特訓なんて、やっぱりだめだったかな」
でもラビアさんならきっと凄い魔法も知っているはず。
そんな風に思っているとラビアさんがやってきた。
「すまない、遅くなった。さっそく始めようか」
「はい!よろしくお願いします!」
「よし、じゃあまず私に魔法を撃ってくれるかな」
「ラビアさんにですか!?」
場所をダンジョン一階層に移して開口一番いわれたのがそれだった。
「なに、君では私に怪我はさせられないから安心して撃っておいで」
「はい、、」
本気で撃っていいんだろうかと心配になりながらも詠唱する。
「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け。フロストスピア!」
渾身の一撃は放ったつもりだったが、ラビアさんに手で受け止められてしまった。
「な、、、」
「弱い。威力が低すぎる」
まさか手で受け止められなんて、、
「威力が低い原因はイメージが足らないことだろう」
そういって私に手を向けた。
「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け。フロストスピア。」
え、放たれたのは私よりも数倍大きい氷の槍。私の真横を通過して後ろのゴブリンに刺さった。
「しっかりイメージすればこれぐらいにはなる。」
速度も威力も私とは段違い。
「もう一回やってみます!」
「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け」
しっかり氷の槍で敵を貫くイメージをする
「フロストスピア!」
さっきよりも大きい氷の槍がラビアさんに向かって飛んでいく。ラビアさんはもっていた杖でその槍を破壊した。
「やればできるじゃないか。よくなった」
「ほんとですか!?」
「ああ。残念だが、そろそろ時間だ。また明日だな。」
「はい、またよろしくお願いします!」
私の魔法特訓はまだまだはじまったばかりだ。
「ふむ、大分良くなった、この一ヶ月での成長は著しいな」
「ありがとうございます!」
この一ヶ月間毎日、早朝にラビアさんと修行してきた。
修行から一週間たったころに憐也とダンジョンに潜ったら魔法の強力さに驚いていた。
「そういえば、君は守りたい仲間がいると言っていたね。」
「そうですね。頼りっぱなしだったので」
「ちなみにパーティメンバーの名前はなんて言うんだい」
「憐也と言います。」
「ほう、、、あの子か」
「しってるんですか?」
「ああ、上位攻略者の間では、五階層のボスをほとんど1人で倒した奴がいると。」
「噂になってたんですね」
「まあ、個人的に三階層で死にかけていた憐也を助けたこともあるしね。」
ラビアさんも憐也のこと知っていたんだ。
「あのとき、これ以上先はちゃんと対策しろといったが、パーティを組んでいたか。」
「でも、どうしてあのとき五階層にボスがいたんでしょうね」
「さあな、その辺はまだ分からない。うちも含めて大きいギルドが調査している。」
ダンジョンは何があるか分からないということを肝に銘じておかないと、、。
「よし、最後に少し威力の強い魔法を教えてやろう」
「ありがとうございます!」
もう憐也の足手纏いにはならないと誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます