第42話 十一月十一日はサッカーの日

 スポーツ用品メーカー・ミズノの直営店・エスポートミズノが制定。

 サッカーが十一人対十一人で行うスポーツであることから。


「もうすぐワールドカップだね。正輝(まさき)君は興味あるの?」


 私は今、最近付き合いだした正輝君と大学の食堂でランチを食べている。

 私はサッカー日本代表の試合は欠かさず観ているので、正輝君も興味があるのか聞いてみた。


「ああ、サッカーか……」

「サッカーは嫌い?」


 正輝君は野球が好きなのは知っていたが、サッカーは観ないのか。


「サッカーって集中すべきところが分からないと言うか、点が入る時は一瞬にして入るからね。かと言って入りそうな時に一生懸命観てても残念で終わることが多いし、観てても無駄な時間が多いと思うんだよね」

「そっか、サッカーあんまりなんだ。ワールドカップを一緒に観たいと思ったんだけど、残念だね」

「えっ? 由美(ゆみ)ちゃんサッカー好きなの? じゃあ観る。絶対にサッカー好きになってワールドカップを一緒に観るよ!」


 正輝君は目の色変えて食いついて来た。


「いや、人それぞれ好き嫌いがあるから、無理しなくて良いよ。そんなのでどうこう思ったりしないから」

「いやいやいや、大丈夫。俺は絶対にサッカーを好きになるから。自信あるから」


 そこまで言うならと、ワールドカップの日本代表の試合を一緒に観る約束をした。



 それから一週間後。


「いやーサッカーって面白いね」


 また大学の食堂で一緒にランチを食べていると、正輝君の方からサッカーの話を切り出してきた。


「えっ、一週間で好きになったの?」

「そうだよ。あれからずっとサッカーのことを調べまくってさ。好きになった」


 正輝君は好物のパスタを食べながら無邪気に笑う。


「ワールドカップは久保選手に期待したいね。レアル・マドリードからレンタル移籍でチームをたらい回しにされたけど、レアル・ソシエダに完全移籍してから才能が目覚めたよね。彼はきっと活躍してくれるよ。あと、三笘選手も……」


 覚えたての知識を自慢気に話す正輝君が可愛く思えた。本当のサッカー好きの人から見れば、にわかサポーターで知ったかぶりで面白くないのかも知れないが、私は自分の為に一生懸命サッカーを勉強してくれた彼を嬉しく思う。



 さあ、サッカーワールドカップまであと少しですね。来年には野球のWBC、ラグビーワールドカップが開催されます。熱い戦いを届けてくれる選手達を、みんなで応援しましょうね! 

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