第4話 天を舞う騎士
視線の先――。
このまま突っ込んで来る怪物を素通りさせてしまえば、また新たな
だからこそ、俺は虚空から剣を
「■■■■■■――!?!?」
巨大な
「な、何が起きたんだ……!?」
それは周囲の気持ちを
「ちっ……あまり長く持ちそうにないな」
なぜならこちらの刀身にも、既に
迫り来る突進を無理やり止めた結果は、見事な痛み分けだったということ。
それにいくら危機を脱したとはいえ、安心するにはまだ早い。
むしろここからが本番――。
「さて、どうするか……」
今の俺は、“飛行魔法”を発動して
加えて、さっきまでの制服から大きく服装も変化している。具体的に表すのなら、他の
更に左手には、主兵装である片刃の剣――“
まあさっきの一撃で既に壊れかけなのは、何とも言えない部分ではあるが――。
ともかく、己の魔力で
これが魔導騎士の基本戦闘形態。
“
そして“
つまり魔導騎士にとっては魔法の杖であり、直接戦うための武器であり、身を守る
ちなみにこの“
「何をしているんだ!? 早く逃げろ!!」
一通りの戦闘訓練を積んだ彼らでも、
もし万が一、攻撃を受けでもすれば、確実に俺は無残な
「■■■■、■――!?!?」
しかし
奴は顔の右側から
「……やっぱり直接ぶち込まないと決定打にはならないか」
何があったのかと言えば、俺は攻撃される瞬間に“夜叉”を振り抜き、
結果、奴が
更にその間、俺はわざと視界が
「■、■■■■■――!!!!!!」
すると、怒りが収まらない様子の
だが俺が飛行高度を上げたため、剣圧が大気を震わせるだけに留まった。
とはいえ、一撃避けた程度でどうにかなる状況じゃない。奴は怒り狂いながら、激しい追撃を
そうして荒々しく振り回される斧を回避し続ける一方、俺は
「とりあえず注意を
危険な状況で何を――と思うかもしれないが、まず俺自身に
それこそが、後ろの連中を守るという目的の第一歩になるのだから。
しかし戦況を
クオン皇国産“
生産性・
強力な“
なにせ、
このまま攻撃を回避していても、相手を倒すことはできない。
その反面、また学園が攻撃される可能性を考えれば、ずっとこうしているわけにもいかない。
唯一、状況を打開する方法があるとすれば――。
「全力での攻撃は、一発が限度……」
俺は更に
待つべき攻撃が来る、その時まで――。
「■■■■■■■――!!!!!!」
何度も攻撃を回避されてイラついたのか、ここで
放たれるのは、上段からの
それは奴にとって、必殺の一撃。
だが俺にとっても、待ち
上段からの大振り、そこには必然的に一瞬の隙が生まれるのだから――。
「ここだ……!」
凄まじい勢いで迫り来る斧を限界まで引き付けると、ギリギリのところで急旋回。
必殺の一撃を回避しながら最高速度で飛翔し、
直後、上段に構えた剣に魔力を
奴はまだ一連の高速機動に反応出来ていないのだろう。
完全に無防備を晒しており、絶好の攻撃機会。
そして刀身に
「“エクシードフィア―ズ”――」
魔導術式の発動と共に斬撃を飛翔させ――ることなく、刃に力を宿したまま振り下ろす。
本来この魔導術式は巨大斬撃を放つものだが、今は壊れかけの刃で破壊力を引き出す必要がある。
つまり必要なのは、一瞬の破壊力。
よって、刀身への
刀身が
蒼穹裂断。
“サベージタウロス”の
「■■■■■、■■――!?!?」
あれほどまでに暴れ狂っていた怪物ではあったが、
その
「ギリギリセーフ……ってとこか」
俺は刀身が完全に砕け散った剣を
生命反応なし。
よって、状況終了。
ひとまずはこれで――。
「うそ、だ……? あの化け物を倒しちまいやがった!?」
「ちょっ、ヤバすぎだろ!? こんなの三年どころか、先生にだって……!?」
「途中から速すぎて全然見えなかったけど、とにかく凄い……!? ねぇ、凄いのかな!?」
さっきまで顔色最悪だった割には元気なことだ。
まあこの後、教師や
とはいえ――。
「雪那にああ言ったとはいえ、まさかこんな形でまた魔導の力を使うことになるとは……」
学園ではもうしばらく自由の
この戦いを経て、これからどんな変化が訪れるのだろうか。
少なくとも何も変わらず、今まで通り――ということはないはず。
だが覚悟を決めて走り出したのだから、どんなことがあっても足は止めない。
両親の死の真相。
守りたい人たちのために戦うこと。
今はそれだけを考えて、前に進む。
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