第4話 幕間
地天馬鋭との久しぶりの再会を、私は複雑な気持ちで迎えていた。
無論、懐かしさが大きいのは断るまでもない。ただ……あまりにも時間があいた。こんなにも長い間、顔を合わせる機会が得られないなんて、当時は想像すらしなかったものだ。
それに、地天馬も地天馬だ。諸々の事情があったとは言え、多少無理をしてでも時間を作ろうとは思わなかったのだろうか。それすら叶わぬほど彼が忙しかったとしたら、世の中には名探偵の興味を惹くに足る怪事件が、まだまだ溢れていると見える。
喜ぶべきことか悲しむべきことか、実際の事件をモデルに推理物を書いて食い扶持とした経験のある私には判断が難しいが。
気に入らないのは、ワトソン役を――と、私が思いの丈をどうにか心の中だけでとどめていると、ドアの開く音が微かに聞こえた。年老いて、耳は遠くなった。
「やあ。我が城にようこそ、地天馬」
私は腰を浮かして、彼を出迎える。地天馬の方は、男を一人、伴っていた。まさか今のワトソン役ではあるまい? まあそんなことを気にするのは後回しだ。地天馬に何から話そうか。限られた時間の中、きちんと取捨選択しなければいけない。
世間では流行り病がまだ完全には収束していないが、私と彼との間には透明なアクリル板がある。私が用意したのではないのだが、とても代物だ。おかげで、息やつばきをあまり気にせずにしゃべれる。
「久しぶり。何年になるかな」
座りながら、地天馬が言った。
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