スカイユース
ありんこ
第1話 3人の学生
202X 7 22
地球 日本 T県 S市 K町 にて。
彼は今、とある民家の縁側に腰掛け、暑そうに作物を眺めている。
「今年も暑いなぁ。作物立派に育って欲しいなぁ。」
スワンは夕方の空の下、独り言を呟いた。
「スワン、回覧板を届けに行って来て。」
「分かった。」
家の窓からスワンの親が出てきて、スワンへ回覧板を渡す。スワンは面倒そうに回覧板を受け取り、重い腰を上げた。
彼の名前はスワン。中学三年生の吹奏楽部。勇気と冒険心はいっちょ前だが、それを除けばただの少年だ。ただ、体は鍛えてるため、運動部にも引けを取らない逞しさである。
スワンは夕方の雰囲気と、地上から立ち上る熱気に多少風情を感じつつ、少し歩いたところの家のポストに回覧板を入れた。
「帰るか。」
スワンは家に帰る時、奇妙な光を感じた。
その光と言う先には、鍵があった。綺麗な黄色の鍵。
「なにこれ…。おもちゃっぽい見た目だ。でも色がついてる割に違和感は無いな。」
スワンが気になり、それを拾い上げる。
「重いな…。普通の鍵か…?誰かの落し物かも。」
と思っているとスワンは視界がほうっと
白くなっているのに気づいたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
地球 日本 T県 S市 M崎にて。
彼女は今、自分の荷物を持ち、疲れながら家へ帰っている途中だ。
「はー、今日も疲れたな。大会近いし、頑張ろう。」
ツーリンは空を眺めながらアスファルトの上をつかつかと歩いている途中だった。
彼女の名前はツーリン。女子ではあるがボクシング部に入っていて、華奢な見た目ではあるが、桁外れに力が強い。髪もショートだが、性格は女子なので可愛いものが好きだったりもする。
「ただいまー」
「ん、姉ちゃんか。お帰り。」
彼女が家に帰ると、2つ下の弟が出迎える。ツーリンは部屋に行き、服を着替え、家を出ようとした。
「どっか行くの?」
「お散歩。欲しいものある?」
「うーーん、コーラ、かな。」
「分かった。行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
ツーリンは結構弟思いで、弟も彼女を尊敬してる。ツーリンは今日は何故か散歩に出たい気分だったので、近くの森を歩いていた。するとツーリンは、妙な違和感を感じた。ツーリンが振り返ると、視界には赤い鍵があった。
「何かしらこれ。鍵か。私に曲げられるかしら。」
ツーリンは鍵を親指と人差し指でつまみ上げた。
「ん、重いな。もしかして落し物かも。」
ツーリンは周りがだんだん白くなっていくのには気づかず、鍵を見ていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
地球 日本 T県 N市 T栄にて。
彼は今、ボーイスカウトで野営をしている途中で、ちょっとした空き時間でそこら辺を探索している途中だ。
「おーい!皆、こっちの方見てみようぜ!」
「OK!」
彼の名前はスリーグ。科学部だ。食欲が旺盛で、頭が良い中学三年生だ。なかなか探究心が強く、ひとつの物事はとことん突き詰めるタイプだ。 科学部とは言っても身体は鍛えているので、そこら辺の運動部には負けない自信があるらしい。また、ボーイスカウトでは班員からの信頼も厚く、自信も良い班長として日々皆から慕われるべき行動を取るよう心がけている。
スリーグが班員のみんなと、竹藪のふもとへ移動する。スリーグが少し歩いていると、ふと、足元から衝撃のような物を感じた。
「なんだ…これ。」
スリーグはその緑色の鍵を見つめていた。
「鍵じゃないですか?」
班員のひとりが言うと、スリーグが鍵を持ち上げた。
「ちょっと重いな。でもなんでこんな所に…」
スリーグはふと周りがだんだん白くなっていくのにすぐに気がつくと、焦った様子で当たりを見回していた。
こうして3人は
どこかへ
飛ばされたー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます