信頼

「……穂花、ありがとう。それと言い忘れていたことがある…。如月健斗曰く、『創造主様』と呼ばれる存在のおかげで彼は、契約できたみたい……」




 その瞬間——僕の視界に映っていた不安そうな表情をしていた玲緒奈から切り替わり、目の前が真っ暗になる。薄々、その予感はあったのだ。どうやって僕の知らないところの設定を補充していたのか——




「あはは…僕に言われても分からないかな…?」




 しかし、僕が口から出せた言葉はこれだけだった。




「…そう」

「二人ともイチャイチャしすぎー!!」




 陽ちゃんに叱られたので、改めて僕達は学院へと足を運ばせる。周囲を彩る満開の花達は、僕に関することの話題や玲緒奈を問い詰めたり、梓が契約した神様についての話で盛り上がっていたが、なかなか僕の耳に届かない。




 ◆◇◆◇




『主よ…答えるのじゃ。其方と創造主とやらは何者でどんな関係じゃ?』

 ——アフロディーテ、いや、僕の聞いてくれるかい?




『そ、そんな恥ずかしことを涼しげに言うでないのじゃ!!それともちろんなのじゃ。妾は主の相棒にして、最高神、早々驚くことはないのじゃ』

 ——確かに、じゃあ言うけど、実は、前世の僕がこの世界を創ったんだ…

『ぬぉぉぉおぉぉぉ!?なんだってええええええええ』

 ——めちゃくちゃ驚いてるじゃん!!

『ゴ、ゴホンッ、驚いてなどいないのじゃ。ど、どら焼きが喉に詰まっただけなのじゃ。本当なのじゃ。じゃから、わざわざ立ち止まって、優しい眼差しで遠くを見るような真似はやめるのじゃ!!』




 ——はいはい。続けるね?だから、僕はアフロディーテの『不貞』も真名も知っていたから、こうしてけいやくできてるけど、本来は如月健斗が君の契約者なんだよ…

『通りで、妾は彼奴あやつに謎のシンパシーを感じていたのじゃな…』

 ——だから…ご

『それ以降は聞かぬのじゃ。妾は妾だ。もう、主の描いた空想上の存在じゃないのじゃ。じゃから、妾が言うべきなんじゃ。幾多もある神々の中から妾を選んでありがとうなのじゃ。本当の創造主様…?』

 ——その呼び方やめて!!次言ったら、お供物しない!!

『うむ。妾は、主の笑顔が好きじゃ。ほれ、主の大切なを不安にさせるでないのじゃ』




 ◆◇◆◇




「ああ、みんなごめんね?ほら、学院行かないと遅刻しちゃうよ?急ごう!!」

「…だね」

「走れば…職員会議間に合いますよね…」

「梓はこのまま遅刻しても…!!」

「梓、ダメー!!」




 僕達は、先程の遅れを取り戻すかのように、桜色に彩られた道を駆け抜け、学院へと足を運び…実践棟にて、りっちゃん先生と再び合流した後、梓は地獄の関門である『体力』、玲緒奈と陽ちゃんは『神降ろし』、僕とりっちゃん先生は『気配察知』と各々の課題へと向き合うこととなる。





 ーーーーーーーーーーー

 最近忙しくて、更新遅れてしまい、申し訳ないです。


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