第10話

「理由は聞いておくかい?」

「……一応、お願いします」

「まずスパイ容疑については、ほぼシロの推定容疑者止まりだ。だが“上”がうるさくてね。悪いが君は見せしめのようなものだ。これに関しては謝罪する」

「見せしめって……」

「もう一つの理由は君の能力だね。資料を見ると、君は昨日の戦闘で三度目、君以外の小隊全滅というドラマチックな体験をしているようだけど……君の成績を見る限りでは、君の能力が低いせいで周りの足を引っ張ったのではという意見が、閣僚会議で交わされてね」


「……」


「勿論我々は反論したが、閣僚会議での決定事項は覆ることが無い。力になれず申し訳ない。これは采配をする側のミスだ。本当にすまない」


 ビンセント司令が頭を下げる。だが俺は正直、ホッとしていた。


 彼らの言う通りで、俺ははじめから何かがおかしかった。成績はせいぜい中の下程度で卒業して、前線寄りの部隊に配属というのがそもそも間違っている。決して手を抜いているわけではなく、俺は自分で自分の能力に自覚があって、転属願いを何度も出していた。適材適所の落としどころが龍伐隊に無いのであれば、除隊してサラリーマンでもする方がよっぽどこの国の為になる。


「こちらのミスでこのようなことになった以上、再就職についても手を回しておく。明日にでも職安へ行くといい。ですね? 大臣」

「うん。根回しはしてるし、君のせいで人が死んだなんて遠回しに言われて、辛い部分もあるだろう。退職金についても特例でいくらか引っ張ってきたから、少しの間療養に時間を充てて、別のところで頑張ってもらえると助かるね」

「わかりました。諸々のご配慮ありがとうございます。可能であれば、ワガママを一つ」

「なにかな?」

「私は孤児です。幼少に親を失い、龍伐隊訓練学校から入隊までのエスカレーターを学費免除で登ってきました。その免除の最低条件として、五年以上の龍伐隊勤続があったはずです。それについてはどうにかならないでしょうか」

「なるほど。それがあるなら雑用でも何でも隊に居てもらわないと困るけど、除隊が決定しちゃったしなぁ……。わかった、私の方でどうにかならないか色々とやってみるよ。過去にもこういったことは起きていてね、恥ずかしながら。前例はあるからある程度は期待してもらっていい。……あと寮だね。一ヶ月間は引き続き使えるように手配した。再就職が決まったら、出てもらうけどね」

「わかりました、ありがとうございます」

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