第2層 一人より二人がいいらしい



第2層


 ダンジョン内を一人で進んで行くステラは、それが一般的ではない事に気がついた。


 たまにすれちがうダンジョン挑戦者達をみると、それが分かる。


「なあ、あっちの区画は行ったよな。俺達迷ってるんじゃねーか?」

「疲れてるから判断力が鈍ったかもな。じゃあ、今のうちに、休憩とるか」

「そうね、モンスターもいない事だし。じゃあそのあいだ。警戒する人たちを決めておかないと」


 ダンジョンに挑戦する者達。彼等は、だいたい複数人で行動し、役割を分担していた。


 ダンジョン攻略にはさまざまな危険がある。


 大勢のモンスターに囲まれたり、罠にはまって動けなくなるなどなど。


 そういった危険から身を守るために、ほとんどのダンジョン挑戦者はパーティーを組んでいた。


「一人より二人、二人より三人。なんでも皆で協力した方が早く終わるものね。それと同じかしら」


 ステラは自分もそうした方がいいのかと悩んだ。


 しかし無能王女と一緒に行動してくれる人間がいるのかどうか不安だった。


 嘘をつくという事はできない。

 ダンジョン挑戦者には専用の冒険者カードが作られるが、嘘をつく事は禁止されているのだ。


 実力や身分を偽る事は、他の人間の生命を危険にさらす事に繋がりかねないからだ。


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