死ねない男が異世界で不死者となる
モンド
第1話 プロローグ
身体がだるくて、起き上がるのも嫌だ。
男はその日も、お日様が傾きかかった頃に、万年床から起き出した。
2カ月ほど前にあるバイト先を首になり、僅かな蓄えで生きているというか死んでいないだけの生活を、続けている。
テレビでは昨日起こった電車内での無差別殺人のニュースが流れていた。
「犯人は死刑になりたい。との理由で犯行に・・・」
こいつもか。
男はこの世界にどれだけ沢山の「死ねない者」がいるんだろうと思いながら、食べ物さえなくなった部屋を10日ぶりに出ることにした。
アパート2階の部屋から出て階段に足を踏み出した時に、男は目眩を感じ足を踏み外した。
浮遊感が男を包む
「これで死ねるのか。」
男はそれだけを考えていた。
階段に身体中を打ち付けながらコンクリートの地面に、頭から叩きつけられる。
痛みは感じなかった、何か温かいものが身体から流れ出ている感覚だけを最後の感じ、男は闇に囚われていった。
〜お前の願いを叶えよう。今度こそ好きに生きるが良い。〜
そんな声が聞こえた気がした。
ーー 生まれ変わり。
目を開けると男は、見知らぬ天井を見つめていた。
『どこだ?病院ではないようだ。確か・・俺は、階段から・・落ちたはず。』と考えていたところに、女性が現れ男に声をかけた。
「アレフ、気分は、どう?」
その言葉と共に男に頭の中に、アレフと言う男の人生の記憶が流れ込んできた。
『俺はこの世界のアレフと言う男に生まれ変わったようだ。』そう思ってると、反応しない男が心配になったのか、女性はアレフの額に手を当てて。
「熱はないわよね。」
と言った。
「カーリー、俺は大丈夫だよ。少し眠いだけ。」
と男は答えると、目を瞑った。
「そう、ならいいけど。」
と言いながらカーリーと呼ばれた少女は部屋を出ていった。
アレフと言う少年は、グスタング王国の北東に位置する、アルカトラズ辺境伯領地で鍛冶屋を営む両親の元に生まれた、少年だった。
残された男は、アレフと言う男の記憶と体を馴染ませるように、眠りについた。
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