第24話
「で、問題はここからだ」
「警察の司法解剖で明らかになった
……ええと、それはどういうことだ?
「寒川さんが売野さんたちの制止を振り切ってバンガローをでたのが19時頃。つまり、寒川さんが殺されたのは19時から20時の一時間に絞り込まれますね」
小林はそう言うとニヤリと笑った。
「そっちの嬢ちゃんは気が付いたみたいだな。その一時間は俺と
「あ」
思わず声が出る。
「……
「白雪の死亡推定時刻は19時から22時。こっちも俺たち三人全員にアリバイがある。俺たちは19時から日付が変わるまで、バンガローから一歩も外に出ていない。お互いが証人だから間違いない」
ならば、寒川と白雪を殺害した犯人は別にいるということなのか?
「警察は通り魔の犯行として現在も捜査を続けている。だが、そんなことあり得るか? 見ず知らずの人間を殺すだけではなく、バラバラに解体するなんてそんなことが考えられるかよ?」
「なるほど。貴方は松岡さんと苺谷さん、二人のうちのどちらかが犯人だと考えているのですね?」
小林が何かに納得したように頷いた。
「……別に二人を疑いたいわけじゃないんだ。だが、もし何らかのトリックを使ってどちらかが寒川と白雪を殺してたらって考えずにはいられないんだよ」
「売野さん、幾つか質問したいことがあります」
「ああ、何でも訊いてくれ」
「寒川さんと白雪さん、二人は殺されてから解体されたのですか?」
「そう聞いている。切られた傷に生活反応はなかったそうだ。切り落とされた首と手足は一か所にまとめて放置されていたらしい。森の中に血まみれのチェーンソーが捨ててあったそうだから、犯人はそれで解体作業を行ったのだろう」
「売野さんは二人の死体は拝見しましたか?」
「見るかよ、んなもん。……いや、胴体だけの女の死体を一瞬だけ見ちまった。首の方は怖くて見れなかったが、DNA鑑定で死体が寒川と白雪本人のものだってことはまちがいねえ」
「そうですか。それではこれが最後の質問です。売野さんは寒川さんと白雪さんの葬儀には行きましたか?」
「……薄情だと思うだろうが、あのときは一刻も早く事件のことを忘れたかったんだ。寒川の葬儀は実家の北海道で行うことになっていたし、京都の白雪の方は親族だけで行うことになっていたしな。言い訳するには都合がよかった。って、それが最後の質問でいいのかよ?」
「ええ。犯人が誰なのかがわかりました。そして、犯人が何故死体をバラバラに解体したのかも」
少女探偵は静かに微笑んだ。
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