【短怖】オフ会

栖東 蓮治

オフ会(前編)

「姫香ちゃんはね、アタシが欲しがってたレアアイテムくれたんだよ~!」

「初めてのPvPでチームに迷惑かけない様に一人でこっそり練習してたって聞いて、私、感動しちゃったの」

「俺がログインするとすぐに挨拶してくれただろ。あれが地味に嬉しくてさ」

 

「あんな事されたら好きになっちゃうよぉ!」

「いい子すぎて好きになっちゃうでしょう」

「好きになっちゃったんだよな」

 

 

 姫香は目の前で繰り広げられる光景を、ただぼんやりと眺めていた。


 数日前、登録者数が1800万人を超えるMMORPG『ラスト・ブック・ワールド』で、同じギルドに所属しているメンバーとのオフ会に参加した。

 一年も同じメンバーでゲームをプレイしていれば、チャットでプライベートの話も零れてしまう。

 ふとしたきっかけで、四人は同じ県内に住んでいる事が分かった。


 フリーター♀、イチル。

 ネカマを公言している会社員♂、ミナホ。

 大学2年生♂、エイジ。

 そして、大学1年生の姫香。

 この四人で会おうという事になった。

 


 男性と二人きりだったなら躊躇したかもしれないが、イチルから声を掛けられた姫香はその誘いを了承してしまった。

 

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