ゼロカフェ!〜×××な夢乃兄弟はオモテナシしたい〜
みやこ。@コンテスト3作通過🙇♀️
プロローグ
開店準備
とある国のとある街の外れにひっそりと
「ユーマ。開店準備は進んでいるのか?」
「兄ちゃん」
落ち着いた低い声でユーマの名を呼んだのは、兄である
トーマは兄弟で経営するカフェのパティシエで、彼の作るスイーツは見た目も華やかでグルメも舌を巻くほどの絶品である。
しかも、そんなスイーツが罪悪感も無くタダで食べられると聞いては、トーマの作るスイーツを求めて来店する客が後を立たないのだった。
(まあ、ホントはタダじゃないんだけどね)
ユーマは心の中でペロリと舌を出して
「もうすぐ終わるよー! 後はテーブルを拭いて、看板出すだけっ。兄ちゃんはもう終わったの?」
「ああ。仕込みは既に終わってる」
「さっすが兄ちゃん! 終わったならこっちも手伝って欲しいなー⋯⋯なーんて」
「⋯⋯仕方ない、今回だけだからな」
「ありがとう、兄ちゃん! ⋯⋯でも、昨日もそう言って手伝ってくれたよね」
ユーマがクスリと笑いながらそう言うと、トーマはムッとした顔でこちらを見る。バイオレットの瞳が
「そんなこと言うなら手伝わないぞ」
「わー! うそうそっ! 今のは忘れてっ。お願いだよ、兄ちゃん」
「全く、お前は⋯⋯」
ユーマが得意の人懐っこい笑顔で
「兄ちゃんってば、せっかくイケメンなのに
「女性はあまり得意じゃないとお前も知っているだろう。それに、ユーマだけで事足りてるから問題ない」
「確かに、兄ちゃんまで出て行ったら女の人たちが大騒ぎして仕事どころじゃなくなるかぁ」
ユーマは熱心にテーブルを拭くトーマの姿を見る。真白なコックコートを身に
「終わったぞ」
ユーマがぼうっとトーマを見ていると、横からそんな声が聞こえてきた。
「わ、仕事が早いなぁ。ありがと、兄ちゃん!」
ユーマは一通り準備が整った広い店内を見回す。元は貴族が使っていた屋敷なだけあって、テーブルやイス、シャンデリアや壁掛けの時計など調度品はどれも一級品ばかりだ。
「テーブルクロスはシワ一つないし、シルバーもピカピカに磨いた。メニューも定位置に置いてあるし、もちろん床には
最後の点検を終えたユーマは
「よしっ、今日も一日頑張りますかっ!」
そう言って、ひとつ伸びをしたユーマは、くるりと看板をcloseからopenへと裏返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます