第7話:冒険者ギルドって、人形が受け付けでもいいですよね?
「サーリアさん…助けて…」
あら、冒険者ギルドの受付さんではないですか。どうしたのでしょう…
「どうかされたんですか?」
「受付の娘が2人流行病にかかって、受付業務が回らないの…」
なるほど、受付業務が出来る娘を貸して欲しいと…以前1階講習を受けさせた子がいましたね…
「分かりました。1日金貨1枚ですよ。」
「うん、分かってるわ。すぐこれる?」
「ええ、すぐ準備させていかせるわ。」
「ありがとう…これで何とかなるわ。」
休みの人も駆り出されてるんでしょうね…早く送ってあげましょう。
「アーシャ、おきなさい。お仕事よ。」
『はい、マスター』
大きなあくびをして…あなたもいい加減人間くさいですね…ミリーほどではありませんが…
「今回は冒険者ギルドの受付業務よ。以前研修を受けたから覚えてるわね?」
『はい、大丈夫です。それでいつまでですか?』
「う~ん…流行病で受付の娘が倒れたって話だから、ちょっと長くなるかも。業務終了したら1日ごとに帰ってこれば良いわ。」
『わかりました。』
行ったようですね…冒険者ギルドは近いですからね。後でしっかり仕事が出来ているか覗きに行ってもいいでしょう。
とりあえずは、人形を作りましょう。最近お仕事で出かける人形も増えましたからね。少し作っておいた方が良さそうです。
この間は作りかけの人形をメイド仕様に仕上げましたが、今回は骨組みからですね…私も藁から人形を作ることは出来るのですが、色んな素材を試しながら作ってます。藁で作ると人を呪うような娘が出来そうで…私は呪ったりしませんよ…
今回は魔物の骨と、革、古木、魔力を織り込んで作ったロープを使います。
骨と古木を使って大まかな骨組みを作ってロープで繋げていきます。関節部分などを革で補強して形を整えていきます。
頭の部分は私が丹精込めて古木から削り出します。この作業でこの子の容姿に影響が出ますから一生懸命やってあげないといけません。やっぱり可愛い子がいいですからね。
大まかなところはこれで完成です。ここまで出来たら人形用のハンガーに掛けておきます。私の魔力を凝縮して作った魔石を胸に埋め込んでやれば完成です。
こんな感じで話してしまうとえらく簡単に聞こえますが、結構大変なんですよ。ロープの結び方1つで性能が変わりますからね。
今日は大まかに組むだけにしましょう。細かな調整は後日する感じです。一気に作ると疲れますし、一気に作ったからと言っていい物になるわけではないですから。自分の気にいるまで作り直したりもするのですよ。
さて、お昼ご飯でも食べてアーシャの様子を見に行きましょう。業務の状況を見て私も依頼を出しておかないといけませんからね。私は人形を作ることしか出来ませんから素材は全てギルドに依頼して集めて貰ってるんですよ。人形師によっては自分で魔物を倒して作っている人もいるそうですけど、私はそっち系のスキルは全く使えませんからね…
自分で魔物を倒している人たちって筋肉バカな人たちでしょうか…スキル無しでも魔物を倒せるんですよね…
冒険者ギルドもちょっと落ち着きを見せているようですね。混雑する時間帯って決まってますからね。
「すみません、依頼を出したいんですが。」
「はい。って、サーリアさんじゃないですか。今回は人形を貸して下さってありがとうございます。」
「いえ、うちも商売なんで。所でアーシャはちゃんと働けてますか?」
「ええ、1度研修を受けているので業務も一通り分かってて助かってます。」
「それはよかったです。」
「今回も魔物の素材ですか?」
「ええ、オークの骨と、ボアの革。後はトレントの枝があるとよいのですが…」
「はぁ、骨と皮はすぐだと思いますが、枝は時間がかかるかもしれないですよ。」
「ええ、特に期日は設けませんし、トレントの枝に関してはたくさん集まれば追加報酬を出して買い取りますので。」
「わかりました。サーリアさんの依頼は報酬がいいので取り合いになるんですよ。」
「よい素材が欲しかったら報酬をケチってはいけませんからね。」
「そう言って頂けると、冒険者も頑張れるのですよ。」
アーシャの働きぶりも見られましたし、依頼もかけられました。お店に戻りましょうか。
『いらっしゃいませ。って、かぁさまでしたか。』
「ミリー、マスターと呼びなさいと言ってるでしょ…」
『かぁさまはかぁさまですから…』
「今、工房で新しい人形を作ってるの。ついでに教育も出来るのだけどミリーは教育されたい?」
『い、いえ。ミリーは教育は必要ないですよ。マスター』
ちゃんと使い分けるのですね…本当に出来のよい子です…いつもマスターと呼んでくれるなら最高の人形ですのに…
アーシャが帰ってくるまで人形の組み立てをしましょう。今日は身体のくみ上げまではやりたいですね…顔を彫り込むのは明日以降です。ゆっくり時間をかけて掘りたいですからね…
『マスターただいま戻りました。』
「お帰りなさい。ギルドの方はどうだった?」
『マスターが様子を見に来られたときはすいてましたがあの後忙しくなりました。』
私が様子見に行ったのを気付いていたんですね。
「そう、仕事はやれそう?」
『はい、以前教えて貰ったことと同じなので大丈夫です。』
「うん。仕事は何日くらいになりそうかギルドの人は何か言ってた?」
『はい、1週間くらいお願いしたいとマスターに伝えるよう言われました。』
「わかりました。では1週間ギルドでのお仕事頑張って下さいね。」
アーシャはちゃんと仕事が出来そうで良かったです。
今回の収入
汎用ドール…金貨1枚
貸し出し 1体 7日
合計 金貨7枚
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます