第16話 自ら己に課す五十音 あ「あんこ」

 私の母方の伯父は、自家製ケーキ屋を営んでいる。

 現在48歳の私が幼稚園児の頃に自分の店を開き、以来現在も現役……のはずである。

 今は疎遠になってしまったが、私が高校生の頃はクリスマスシーズンに伯父の店の手伝いに行ったりもした。

 だがしかし。

 私は生クリームが大の苦手なのである。

 ことの発端は、父親が運転する車に酔ったことだ。

 当時小学一年生だった私は本を読むのが大好きで、車に乗っている時に本を読むと車酔いするのがわかっていながらも、読書をする手を止められなかった。

 案の定私は吐き気をおぼえ、その原因を生クリームだと決めつけた。直前に、ケーキを食べたことがその理由だ。

 それ以降、私は生クリームが苦手になり、ケーキ屋さんである伯父からは

「おじさんがケーキ屋さんなのに、生クリームがダメってどういうことだ……」

 と渋い表情かおで何度も言われた。

 だが、こればかりは仕方がない。子供の思い込みというのは、存外強力な呪縛なのである。

 今は少しは生クリームも食べられるようになったが、私は断然あんこ派だ。

 おはぎ、羊羹、たい焼き、今川焼き等々、あんこが大好き。

 ちなみに、こしあんより粒あん派である。

 おそらく、これは生涯続くであろう。

 あんこ、フォーエバー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る