第83話 その瞳に映る未来

「意外と魔力が高いのね。偉いじゃない」

 本から映し出されているサクラ達の様子を見て、ソナタがフフッと笑いながら視線を合わせないようにサクラを見続けるノイズを見た

「ソナタさん、感心している場合じゃないような……」

 ノオトがソナタに言うとリリがふわりと飛びノオトの肩に座った

「サクラは多分ノイズの魔力を完全に自分の物にする」


「そうしたら、どうなるか分かる?」

「……この世界に居れなくなる」

「そうね。今はモモの力があるけれど、サクラちゃんがそれを取り、二人とも魔力がなければこの世界に居れないわ」

「それじゃあノイズは……」

「サクラちゃんの代わりに、魔術のない世界に行くことになる」

 ソナタがそう言うとノオトが驚いた顔でノイズを見た。表情は特に変わることなく、ノイズはサクラを見続けている


「サクラはこの禁書の部屋の中に居ることになる」

 リリがポツリと呟くような言葉で言うと、ノオトが驚き肩に乗るリリを見た

「ずっとじゃないわよ、サクラちゃんが魔力を扱えるようになったら出れるわよ。それがいつの日になるかは分からないけれど。私的には、ずっとこの禁書の部屋の住人として司書になってもらえると助かるんだけどね」

 ノオトの様子を見てフフッと笑いそうソナタが言うと今度はノイズを見ると、ノオト達の様子を気にすることなく、じっとサクラを見ていた




「あなたの名前を呼んだら、ノイズの魔力は戻るの?」

 サクラが女の子に聞くと、女の子がノイズを見たまま少し困ったように首をかしげた

「うーん、それは分かんない。でもどうにかしないと主もノイズも大変になるのは確かだよ」

 そう返事をすると、サクラが女の子の腕を引っ張り耳元にヒソヒソと話す。しばらくすると、女の子が返事の代わりに何度も首を横に振った

「それはモモとかメメにも似てるよ。別にして」

「じゃあ……」

 また女の子の耳元でヒソヒソと話すと、今度はうんうんと何度も頷き、近づいてきていたノイズを確認をすると、捕まれているサクラの手を引っ張り前に立たせた

「うん、それでいいよ。私を呼んでこの本から出よう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る