こねくとノイズ

第79話 光の中で出会った魔力

「それじゃあサクラちゃん、その本を開けてね」

　ソナタがサクラにニコッと微笑み言うと、ノイズとノオトが怪訝な顔で顔を見合わせ、サクラが本を見つめ、ふぅ。と一つ深呼吸をした

「わかりました……」

　呟くように返事をすると、少し手を震わせながら大きな本の端を両手に掴み、ゆっくりと開いた。サクラが少し表紙を開くと本は勝手に動き大きく開いたその本は、サクラがぎゅっと目を閉じるほど眩い光を放っていた。本とサクラの様子を見てノイズとノオトが心配そうに見ていると、眩い光がサクラの姿を消すように更に眩しくなっていく。それを見てもソナタはニコニコと微笑んだまま様子を見ていると眩い光とサクラの姿が消え、大きな本だけが残った

「しばらくは出てこれないわね」

　少し安堵したような声で本に近づきながらソナタが言うとノイズも本に近寄りながら話しかける

「しばらくってどれくらい？」

「そうね、サクラちゃん次第ね」

　フフッと微笑みながら言われ、ノイズが少し不機嫌そうにソナタから顔を背けた

「モモ、もういいわよ。お疲れ様」

　ノイズに抱かれているモモに声をかけると、バサバサとページの音をたてながらノイズの腕から離れ、サクラが入った本の側に行き、表紙の真ん中で立ち止まった

「今度は真っ白……」

　その頃、本の中にはいったサクラは困った顔で辺りを見渡していた。何処を見上げても辺りは白く、出口も見当たらない雰囲気に、はぁ。とため息をついた

「体は動くけど、どこに行けばいいのかな」

　左手を上に伸ばし顔も見上げながら呟くと、ふとサクラの周りの様子に気づいて首をかしげた

「モモに似てるけど、モモじゃない……」

　そう呟いていると、手を伸ばしている先の真っ白な視界の中に突然影が見えた

「何あれ……」

　手を伸ばしたままその影を見ていると段々と大きく近づいていくる影。手の届きそうな距離に近づいた時、その影がサクラと同じくらいの身長の女の子だと分かり、その女の子がサクラの側に立ち止まりニコッと微笑んだ

「こんにちは」

「こ、こんにちは……」

　足元まで届きそうな髪の毛を揺らしに挨拶をする女の子につられるようにサクラが返事をすると、女の子がトコトコと歩いてサクラの身体中を見渡しはじめた

「私はね、あなたの魔力。よろしくね」

　そう言いながら手を差しのべられるが、話に理解できず戸惑っていると、その女の子も、うーんと困ったように首をかしげた

「よく分かんない？簡単にいえば、メメとかリリみたいなもんだよ。理解したなら握手して」

　そう言われて、あまり理解出来ずも、サクラが恐る恐るその女の子が差し出した手をつかんで握手をすると、女の子が嬉しそうにエヘヘと笑う

「じゃあモモは……」

「あの子はノイズの本で魔力で術だから。もうあなたの手には負えないし、帰ってもらったの」

　そう女の子が言うと、サクラの手を離し少し離れて、うーんと背伸びをした

「大変だったんだよ、ずっとあなたの力が安定しないから体が大きくなったり小さくなったりしてて。モモに大分助けられたけど、ソナタさんやオンプさん達のお陰で、やっと落ち着いてくれて良かったよ」

　柔軟をしながら嬉しそうにいう女の子を見ながら

サクラがまだ戸惑っていると、女の子がふぅ。とため息をついて、サクラの手を取りグイッと強く引っ張った

「さてと、少しは私のこと理解してくれたみたいだし、ちょっとこの世界を一緒に歩こうか。その間にきっと帰る術も覚えるだろうしね」