第77話 昔の意地悪な思い出

「サクラ、大丈夫」

「うん、大丈夫。ありがとう」

 ノイズが手を伸ばすとサクラがニコッと微笑み手を取り、立ち上がるとベッドに座り直されるとノイズに頬を軽く引っ張られた


「いったい何があったの?」

 ノオトが二人の様子を見つつもオンプとリズムに聞くと、どう説明をしようかとリズムがオンプを見つめる

「私の囲いの術が解かれてしまいました。何重にもかけていたのですが、サクラさんに負けました」

「えっ、サクラに術を一つも教えてないのに、なんで?」

 オンプがまだ少しテンションの高いままノオトに言うと、ノオトが驚いた顔でベッドに座るサクラを見ると、少し体を傾けこちらを見るサクラと目があった


「あの術は使えたのは私の術だから……」

 そう言いながらサクラの頬を軽く触りノオトがいる入り口の方に振り向き、ふぅ。と一つ深呼吸をした

「私が小さい頃、お母様にイタズラしたお仕置きに部屋に閉じ込められた時、抜け出そうとした時の術と同じだった。結局、術を解けなかったし忘れていたけど、モモが書いて覚えていたんだ」

「でも、それにしても……」

「ここ最近、サクラはモモと一緒にいたから、無意識かな」

「でもでも、他人の術を完璧に使うには……」

 ノオトとノイズの会話にオンプが割って入りサクラを見る。仮眠室にいる全員から見られてサクラが首をかしげていると、パンッと手を叩く音が部屋に響いた

「はい、そこまで。騒がしいのは終了して」

 ソナタが仮眠室の入り口の前でノイズ達に声をかけると、リズムが少し顔を強ばらせオンプの背に隠れた

「お母様……」

 ノイズもソナタから顔を背け呟くと、ソナタも気づかないふりをして側にいたオンプとリズムの方に振り向いた

「二人とも、ここは大丈夫だから仕事を再開するようにとみんなに説明して」

「はっ、はい!」

 ソナタに大声で返事をすると、逃げるようにオンプとリズムがバタバタと走り去っていくと、リリが仮眠室に現れサクラの隣に来た

「本当に困ったわね……。どうしましようか。とりあえず、こんな部屋にいておくわけにもいかないし」

 ソナタもサクラの前に来て顔を見つめる。リリにも顔を近くで見られ戸惑い、サクラがノイズをちらりと見ると、ソナタもふぅ。とため息つきながらノイズを見た

「ノイズ一緒に来なさい。ついでにノオトちゃんもね」

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