第63話 再び時が動きはじめた
「モモ、サクラの事よろしくね」
抱きしめていたサクラを手離しモモにそう言うと、サクラの頭の上に止まりパラパラとページをめくりはじめたモモ。サクラが顔を上に向けその様子を見ていると、眩しい光がページから現れ、サクラがぎゅっと目をつぶると、ゆっくりと本を閉じはじめたモモ。パタンと静かに本が閉じると、サクラの姿が無くなった
「どこに連れていったの?」
「どこって本の中。その方が安全だからね」
モモに手を伸ばしながらノオトの質問に答えると、ゆっくりと降りてきたモモを抱きしめ、ノオトに微笑む
「ノオトも一緒に来る?ちょっと帰るの遅くなるけど」
「どこに行くの?」
「サクラの世界に」
フフッと微笑みながら言ったノイズを少し睨むように見ながら、ノオトがふぅ。と一つため息をついた
「サクラをちゃんと家まで送るなら行くけど」
「モモが動いてくれたら送れるよ」
ノオトにそうすぐに返事をして、ふわりと空を飛ぶ。いつの間にか動きはじめていた周辺の人達を避けつつ空を飛び続け、あっという間にノオトから離れていく
「早く行かないとサクラの世界も夜になるから、急ごう」
大声で叫びノオトを呼ぶと、周辺の人達や足元を照らしている街灯達がくるりとノオトの方を見ると、ノオトがまたはぁ。とため息をついてノイズを追いかけるように空を飛んだ
「どうする?急いでソナタさんを呼ぶ?」
二人の動きを大きな本のページから見ていたリズムが隣にいるオンプに問いかける
「呼んだ方がいいかも。私、ソナタさんを呼んでくるよ」
そう言うと、オンプの頭の上に座り険しい顔をしてノオトを見ているメメをリズムに渡し、部屋の入り口の方へと走り出したオンプ。扉を開けようとドアノブに手を掛けた時、突然扉が開き、オンプが驚いてあたふたとしている。リズムとメメはオンプの様子に気づいていないのか、本を見たまま話しはじめた
「メメさんはどうしますか?ノオトさんのところに行きますか?」
「いえ、他の世界に行くならダメね。私が行くと無駄に魔力を使ってしまうし、見つかるわけにもいかないから」
「それならリリにお願いするわ」
と、突然後ろから聞こえた声に驚いて振り向くとソナタが本に向かって歩いてきていた。本に映り見えるノイズ達の様子を確認すると、ソナタに抱かれながらも不満そうな顔をしているリリの頭を優しく撫でながら話しかけた
「ノオトの側にずっといるのよ。頑張ってね」
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