第56話 幼い頃から変わらない
「お母様がそう言ってたの」
その頃、ノイズと会ったモモがソナタからの伝言を伝えノイズが、困ったように微笑んでいた
「なら、言葉に甘えてもう少し出てようかな」
そう言うと、真っ暗になった空を見上げ、側に浮かぶモモを見て今度はクスッと笑った
「モモ、サクラの世界に行ってみる?」
そうノイズが言うと、嫌がるようにモモが周りをグルグルと動き回る
「そうだよね、多分怒られるかもね」
そう言うと地面を蹴って少し離れた場所にある大きな木の上に立ち止まった。慌ててモモがノイズの後を追いかけると、ノイズが小さく息を吸う。すると、地上に微かに聞こえるほどの小さなうた声が響いた。うた声が聞こえると、そよ風も吹いてモモが楽しそうにノイズの周りを動き、ノイズも止めることなくうたい続ける
「やっぱりここにいた」
はぁ。とため息混じりに聞こえてきた声に、ノイズのうた声が止まる。声のする方を見ると、ノイズの後ろにノオトが少し怒った顔で立っていた
「帰るよ」
「いや、帰らない。お母様が良いと言ってたし、今日はお仕事ないだろうし。今日は帰らない」
「ソナタさんが良いっと言っててもダメなもんはダメ」
「なんで?」
「いつもよりちょっと歌がずれてたから」
ノオトがフフッと笑って言うとノイズが頬を膨らませプイッと顔を横に向けた。その間にノオトが、ノイズの隣に来るとモモが嬉しそうに二人の間で動きページの音を鳴らしている
「なんのためにサクラを呼んだかは知らなくても良いけど、側にいてあげたら」
と、ノオトが言うとノイズがふぅ。と一つため息をついて、モモを掴みぎゅっと抱きしめた
「なんのためって……。一目惚れかな」
ノオトに答えるようにフフッと笑って言うと、ノオトが驚いた顔をしてノイズを見た
「冗談だよ。でも、モモもなんとなくそんな感じだよね」
抱きしめているモモを見ると、返事をしようにも出来ずモモがもがいていた。ノイズがパッと手を離すと二人の間を急がしそうに行ったり来たりと動きはじめた
「それよりノオト、いつから聞いてたの?」
と、さっきまでとの声は違い小声で聞くと、その問いかけにノオトが少し驚いた顔をするとフフッと笑った
「初めて会って、ノイズと話す前から」
「えっ?でも私と話をしたのは学園に入ってからだよ」
「学園に入る前に、ノイズの家の付近を通ったことあるから。モモと一緒にご機嫌でうたうノイズを見た」
ノオトの返事を聞いてまたノイズが頬を膨らませ顔を背けた
「ノオトって意地悪だよね」
「それはお互い様でしょ。ねえ、モモ」
ノイズに答えながら、いつの間にか少し離れた場所で飛んでいたモモに声をかけ呼び寄せると、ノイズの頭にポンッと軽く手を置いて優しく撫でた
「もう帰るよ。サクラも起きたし、ミクも誘ってご飯でも食べて休もう。きっと明日も忙しいから」
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