第38話 街中の騒がしさの中に
「えー、ノオトちゃんも寝ちゃったの?」
ロンドと別れた後、街中を一人歩くソナタが右手に持つ本の開いているページにはリリが映り、その後ろにはサクラとノイズが眠るベッドが映っている
「ええ、ノオトは怪我をしたし、ノイズも昨日からあまり寝てなかったようだからね、仕方ないわ」
「家に向かっていたのに残念ねー」
「……嘘ね」
「嘘じゃないわよ。ただ、美味しいお菓子でも持っていこうかなって思っただけよ」
ニコニコと微笑み話すソナタの後ろには見慣れた街とガヤガヤと騒がしい人々の声が聞こえ、リリがはぁ。とため息をつく
「じゃあ、家のことはしばらくリリに任せるわ。私は戻ってメメやモモのこと調べるから」
そう言うと、本を閉じご機嫌で歩くソナタ。リリに話していたお菓子を買うでもなく適当に町を歩こうと考えていたその時、後ろからバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた
「ソナタさん!ソナタさん!」
「あら、オンプちゃん」
走ってきたせいで息を切らしソナタを呼ぶオンプに微笑みながら同じく名前を呼ぶと、オンプも微笑みながらペコリと深く頭を下げた
「お久しぶりです、ソナタさん!」
「久しぶりって、前に会ったのは昨日よ」
オンプの言葉にクスクスと笑いながら話していると、急に走ったオンプを追いかけてきたリディとミクがやって来た
「あら、二人も一緒だったの」
「はい、みんなでお昼ご飯食べに行こうと思って」
ソナタとミクが話していると、リディが少しソナタから離れようと少しずつ後ずさりしている。それに気づいていないオンプが背伸びをしてグイッとソナタに顔を近づけた
「ソナタさんも一緒に食べますか?」
「そうねぇ、そうしたいけど、今回は無理ね。さっき仕事が入ったの。また今度ね」
オンプの頭を撫でてながら返事をすると、寂しげにしょんぼりするオンプとホッと安堵するリディ。そんな二人の反応を見たミクがフフッと笑っている
。ソナタも三人を見て、手を振り離れていく。人が多い街中に、ソナタの姿はすぐ見えなくなった
「ノイズとソナタさんって、似ているような似てないような……」
姿が見えなくなり、やっと話しはじめたリディ。その言葉を聞いたオンプが大きく頷いた
「そうですねー、でも騒がしさは似ていますよ」
「そうかも」
オンプの話しに納得しつつ歩きはじめたリディの後をミクとオンプがついていく。三人が向かっていたお店までにまだ少し遠く、その道中にあるお店の数々にオンプは楽しそうにを見ている
「そういえばソナタさんって、めちゃくちゃ強いって見えないよね」
「はい。見えませんが魔力は一流です。世界でも右に出るものはいないとオンプは思います」
「そうなの?」
「はい。幼少期からとても強くて、ロンドさんが毎日のように迷惑していたと聞きました。だから強いんですよ!」
「そ、そうだね」
グイグイとリディに近づきながら背伸びして言うオンプに、リディが少し引き気味で返事をする。そんな二人の様子をミクがまたフフッと笑って見ていると、三人が行こうとしていたお店を見つけ、まだ話し合う二人の手をぎゅっとつかんだ
「ほら、二人ともお店見つけたから早く行きましょ」
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