第27話 温かさに眠りを誘われて
「えっ、また出掛けるんですか?」
「モモが外に出たかもしれないから探しにね。サクラは寝てていいから」
「……でも」
サクラの部屋に戻るなり出掛けると言われしょんぼりとうつ向くサクラ。その様子に慌ててノイズがサクラをぎゅっと抱き締めた
「一人は怖いだろうし、モモが心配だろうけどリリがいるから大丈夫。リリは私とノオト、二人いるより安心だから」
ノイズの言葉を聞いてサクラがゆっくりと頷くと、ノイズがサクラの肩をバンバンと強く叩いてニコッと微笑んだ
「サクラのベッドには、この家で一番のふっかふかなお布団用意してもらったからさ、きっとすぐに寝ちゃうから。その間に帰ってくるよ」
そう言うとサクラの返事も聞かずに、入り口まで小走りで向かって部屋を出た。ノオトもノイズから少し遅れて部屋から出ると、先に出たはずのノイズが戻ってきて部屋の扉から少し顔を出してサクラに手を振った
「じゃあ行ってくるね。何かあればリリだけじゃなく家政婦さん達に言ってね」
「うん、行ってらっしゃい」
サクラも手を振りノイズに返事をすると、ゆっくりと扉を閉じたノイズが、ふぅ。と一つ深呼吸をして、側にいた家政婦達に話しかけた
「それじゃあ、サクラをよろしくね」
「はい。皆さん、行ってらっしゃいませ」
返事をしながらペコリとお辞儀をする家政婦達。ノイズも少し頭を下げると、廊下の少し先で待っていたノオトとメメの所にゆっくりと歩き横を通り過ぎると、ノオトが後を追うとすぐ隣に着いて、ノイズの頭に手をポンッと優しく置いた
「急いで帰ってくるんでしょ?さっさと行くよ」
そう言うと、先に歩き出したノオトをボーッと見ながらまたゆっくりと歩くノイズの頬をメメがグイッと引っ張った
「ほら、さっさと行くわよ」
メメの言葉に少し頷き、さっきよりもほんの少し早くノオトの後ろを歩きだした
「ふっかふかだー」
一方、ノイズと別れた後のサクラは、部屋にある大きなベッドに勢いよく倒れ、最初の部屋よりもふかふかな布団にすぐ眠くなり目がウトウトとしていた
「ちゃんと寝るのよ」
サクラを見てクスッと笑いながらリリが話しかけるが、返事はなく動かない。心配になったリリがサクラの顔を見るとスースーと寝息をたてていた。リリが寝顔を見てまたクスッと微笑むと、サクラを起こさないように布団をゆっくりと動かし、ベッドに寝かし直すと、そーっと扉を開けて部屋を出た
「じゃあよろしく。家の警備はどうしている?」
部屋を出ると側で待機していた家政婦達に声をかけると、ノイズ達とは違い家政婦達が少し緊張した面持ちになった
「休暇中だった人達も呼び戻して家の中、外も見渡し、結界も張り直しています。使い魔も総出でサクラさんを見届けています」
「どれくらい結界は持ちそう?」
「ノイズ様が帰ってくるまではどうにか持つように頑張りますが、長い時間は持つかどうか……」
リリの問いかけに不安そうに家政婦達が答えると、リリが少し考え込み始め、家政婦達に更に不安が募る。リリが家政婦達の雰囲気に気づいてフフッと笑うとふわりと飛んだ
「わかったわ。私もなるべく早く帰ってくるようにするからサクラを見といてね、よろしく」
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