第22話 ため息混じりの報告
「なるほど。全部ノイズが悪いのね」
「いや、全部……ってじゃないと思うけど」
一通り、ノイズとサクラが出会った時の事やここに来た経緯をソナタに教えると、呆れたようにノイズを見ると、その視線から逃れようと顔を背け、サクラの膝の上で撫でられているメメが大きくアクビをした
「あの子達によく文句言っているのはノイズでしょう?いつもダメだって言ってるじゃないの」
「私からは言ったことないもん」
「でも、言い返したなら結局一緒なのよ。サクラちゃんまで巻き込んで、どうするのよ」
「……それは、サクラに悪いと思うけどさ」
ノイズがサクラとモモを見て呟くと、ノオトがはぁ。とため息をついて紅茶を飲むと、ソナタが壁にかけてある時計を見てパンッと両手を叩いた
「みんな、そろそろ帰りなさい。お風呂でも入って、ちゃんと休むようにね」
まだ濡れているサクラの髪を見てソナタが言うと、まだ服も濡れているのに気づいてクシュンとくしゃみをして、身震いもするとモモが心配そうにサクラの周りをグルグルと動き回り、それが目障りなのかメメが目障り尻尾を大きく振りだし、ノオトがメメを抱きしめた
「じゃあ帰るけど、しばらく仕事いれないでよ」
「それは、私が決めることじゃないわ」
ノイズの言葉にフフッと笑って返事をするソナタ。その笑顔に不安を覚えつつも、サクラを椅子から立たせると部屋の扉を開けた
「じゃあね、サクラちゃん。ちゃんとノオトとメメに守ってもらってね」
ノイズの後に部屋を出ようとしていたサクラに手を振り言うと、辿々しくペコリと頭を下げて部屋を出ると、ノオトとメメも部屋を出た。扉が閉まる寸前に、出たはずのノイズが扉を少し開けて部屋を覗くようにしながらソナタにコソッと小声で話しかけた
「お母様、いつ帰ってこれるの?」
「数日中には帰ってくるわよ。心配しないで」
ニコッと微笑み言うソナタにノイズがゆっくりと頷いて、ゆっくりと扉を閉じた。バタバタとノイズが走る足音が聞こえ、ソナタがふぅ。と一つため息をついた
「問題はもう沢山だっていうのに……。色々起きるわね」
呟きながら、椅子から立ち上がったソナタ。部屋を出て、すぐ側にある部屋の扉をノックして扉を開けると、沢山の人達が部屋の中を忙しそうに動いていた。ソナタの少し離れた場所で少し手が空いていそうな女性を見つけると、手招きしてその女性を呼んだ
「ねぇ、ロンドを呼んでくれる?」
「あっ……。ロンドさんは先ほど、怪我人が出たということで救護要請が出まして出掛けました」
「本当、いつも大事な時に居ないのよね」
そう言うソナタに、女性が返事が出来ず苦笑いをしていると、先ほどモモを預けた男性が部屋の中に入ってきた
「モモの様子はどうだったの?何か聞いた?」
「はい。書かれていたノイズさんの術は、ほぼ元通りになりました。ですが、あの本が術を書かれることを少し嫌がっているみたいで……」
「そう。モモも困ったものね」
呆れたように言いながら二人からモモの資料や他の資料も受けとると、パラパラと適当に見て、はぁ。とまた一つため息をつくと部屋の扉を開けて、少し怠そうに二人に声をかけた
「少し出掛けるわ。後は宜しく。何かあれば、ノイズ達を呼んでどうにかしておいて」
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