第21話 その反応が答え
「ちょっと、久しぶりに会うなりなにその顔。もうちょっとニコッて笑って会えないの?」
サクラのいる部屋に入ってきたノイズとノオトを見て、呆れた顔で話しかけるソナタ。だが、ノイズはフラフラと足元がおぼつかないまま、サクラの隣にあった椅子に力なく座った
「さっき仕事で呼ばれてすぐにここに着たんだもん。さすがに疲れちゃうよ……」
机に突っ伏しながらソナタに返事をしているとノオトも椅子に座り、ふぅ。隣に深呼吸をして、メメはサクラの側に来て、机にペタッと寝そべった
「みんな、魔力も体力もまだ鍛えないといけないわね」
「ううん、それはいらない……」
ソナタの言葉にノイズが力なく返事をした時、ふと隣で心配そうな顔でノイズ達を見るサクラを見て、ふぅ。とため息をついた
「サクラ、本当にここに来たんだ。凄いね」
「ロンドと話していたら突然現れたのよ。どういうことか説明して」
ノイズとソナタの言葉を皮切りに、部屋にいた全員がサクラに視線を向ける。その視線に耐えられず
、サクラがうろたえはじめた
「もう少し休んでからね。それより、サクラはモモと来てないの?」
「本のこと?あの本は濡れて使えないから治療中よ。あの本も、よくもまあここまで連れてきたものよ」
「私の本だもん。当然といえば当然だよ」
「あらノイズの本なのね」
「そう、サクラに今は貸しているだけ」
ノイズとノオト用の紅茶を淹れながら話をするソナタ。その様子をサクラが少し首をかしげながら見ている
「そんな変な顔をしてどうしたの?」
と、サクラに声をかけながら、前に立ちうーんと背伸びをしたメメを無意識にぎゅっと抱きしめ体を撫でた
「ノイズとあの方は……」
「ああ、あの人はノイズの母親で、この施設の……」
「メメ、今はそれ以上はダメよ。私が、サクラちゃんをもっと知ってからね」
ソナタが紅茶の入ったコップをテーブルに置きながらメメの話を遮ると、メメが一瞬ビクッと動いてサクラの腕に尻尾を絡ませた。メメの様子を気にする様子もなくニコッと微笑み椅子に座るソナタ。ノイズとノオトが苦笑いで紅茶を飲んでいると、コンコンと小さく部屋の扉を叩く音が聞こえた
「本の修復が完了したので、お持ちしました」
部屋の扉が開いて、モモを抱きしめた女性が部屋に入ってきた。すると、サクラを見たモモが、バッとページを開き、無理やり女性の腕から離れると、ノイズの横を通りすぎ、サクラの周りをグルグルと
動き、メメが迷惑そうに、ふぅ。とため息をついた
「あら?ノイズの本よね?」
「そうなんだけど、なんかサクラの方に懐いているんだよね」
「今まで扱いが雑だったから、サクラちゃんに懐くのよ」
ソナタに言われて、ノイズが少し分が悪そうに頬を膨らませるていると、気持ちが落ち着いたのか、モモがテーブルに降りると、少し部屋が静かになった。するとソナタがテーブルを挟んでサクラの前に座りカタンと音をたてながら椅子に座ると、ニコッと微笑みながらサクラに話しかけた
「さてと、一通り集まったみたいだし、色々話を聞かなくちゃね」
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