第15話 お口に合わないのなら
「サクラさん、どうしましたか?」
モモがノイズ達の所に行ってすぐ、先にご飯を食べはじめていたサクラが、急に辺りを見渡しはじめ、おかずを取り分けていた家政婦がサクラに問いかけた
「モモはどこに行ったのかなって思って……」
「あら、そういえば……」
家政婦達も食堂を見渡してモモを探す。ふと、サクラが窓を見ると、窓についていた雨粒が少なくなっていることに気づいて、椅子から立ち上がり、窓を開け空を見上げた
「雨が止んでる……」
と、雲の隙間から見える月を見て呟くと、ベランダを見渡してモモを探す
「モモー。外にいるの?」
外に向かって声をかけていると、食堂の入り口の方からカタンと音が聞こえ、振り返るとご機嫌そうなノイズとモモを肩に乗せたノオトがいた
「ただいま。サクラー、ご飯食べてる?」
サクラのいる方に歩きながらノイズが話しかけてくる。ノオトとメメは先に椅子に座って、何を食べようかと悩み話している
「何してるの?」
「えっと、モモが……」
ノイズに話しかけられ、困ったようにサクラが言おうとした時、二人の間に突然、モモが現れサクラの周りをウロウロと動きだした
「ノイズ様も今、ご飯を食べますか?」
「うん、用意してもらってもいい?」
「ええ、すぐに」
家政婦とノイズが話をしている間、サクラはモモを抱きしめ、雲が月を隠して少し暗くなった空を見たげている
「何を見てるの?」
「空を見てるの。なんとなくだけど不思議な雨だったなって思って」
「サクラにとってはこの世界は全部不思議だからね、仕方ないよ」
ノイズがサクラの疑問に答えると、まだ空を見るサクラに後ろからぎゅっと抱きついた
「ほらほら、色々と不思議がるのは後にして、ご飯が冷める前に食べよう」
サクラの手をつかんで、無理矢理サクラの椅子の方へと歩きだしたノイズ。その隣に座って、運ばれてきたご飯を食べはじめた
「ごちそうさま。お腹いっぱい」
用意された料理が半分くらいまで減り、ノイズがうーんと背伸びをして、ノオトは珈琲をゆっくりと飲んでいる
「あら。それではデザートは要りませんか?」
食べすぎで、ふぅ。とため息をついたノイズを見てクスッと笑いながら、家政婦が問いかけると、慌てた様子でサクラの方を見た
「いるよ!サクラもデザートいるよね」
「えっ、うん……」
「では、皆さんの分のデザートお持ちしますね」
少しうつ向いていたサクラが慌てて返事をする声とノイズの嬉しそうな声を聞いて家政婦達がまたクスッと笑う
「ありがとう」
ノイズお礼の言葉に家政婦達がペコリと頭を下げて、ノオトとメメの分も含めた四人分のデザートを取りに食堂から出ていった
「どうしたの?サクラにこの世界のご飯はお口に合わないかしら?」
メメがサクラの側に来て顔を伺うように問いかけると、モモもサクラの側に来てページがパラリと動いた。メメとモモを見て、サクラが二人の不安を取り除くように少しうつ向いていた顔を上げエヘヘと笑う
「ううん、とても美味しかったよ、でも……」
「サクラの世界のことなら気にしないで。たぶんあの世界は今ごろ……」
「どうぞ」
ノイズの言葉を遮るように、いつの間にか戻ってきていた家政婦達がサクラ達の前にデザートを置いた
「あっ、ありがとうございます……」
サクラも見たことのあるフルーツがたくさん乗ったデザートが来て、少し嬉しそうなサクラ。一口食べると、とても甘いフルーツに一気に笑顔になると、メメが羨ましそうにデザートを見た
「ノイズ」
ノオトもデザートを一口食べると、少し語気を強め、デザートを食べようとしていたノイズを呼んだ
「後でオンプに怒られることを覚悟しておかないとね」
ノオトのデザートを狙うメメを手で避けながらノイズに話していると、メメの分のデザートが来て、慌てるように食べはじめたメメを見て、ノイズもデザートを一口頬張り、ノオトにクスッと笑って返事をした
「上手いことサクラにもノオトにも誤魔化してくれたら大丈夫だよ。それより今日はもう疲れたから、早くお風呂入って休もう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます