海運都市ダブソスにて
49 新人芸人としての夜
「召使い部屋。厨房に近くて、すぐ、ごはんのおかわりに行けるね!」
「ねぇ、
半人コンピューターである
「
それはそうだろう。
「頃合いを見計らって、
今回の出奔(里帰り)は、
「そうする。
「ネタ……。女神に聞くんですか」
「だてに年取ってるわけじゃないっしょ」
その地下迷宮への帰り方は一択。
(帰還する)
真夜中に出した願いに〈かぼちゃの馬車〉がさし示した中継地点は、厨房のスパイス棚の前だった。
夜食係しか起きていない時間。その夜食係も、オーダーが入らない限りは厨房に来ないから、無人。
「目と鼻の先っ」
ありがたいことこのうえない。
「
「え……。それじゃ、わたしが
「アリバイ作りだよ」
「いや、まずいです……。主従でつきあってると
「いや。もう、たしか
この事態を
そして、真夜中、
そのあとは、いつも通りだ。中継地点の〈四匹の力持ちの門〉があるドーム天井の円形の部屋に移送。長い自動螺旋階段をめぐりおりた先に長い廊下。突き当りに地下迷宮の扉。
「ただいまー」と、真白月は地下迷宮の引き戸を元気よく、あけて帰ってきた。
「お帰りー」
先に帰っていた
そこからは健康チェックがはじまった。
合間に、
「正統派でいきまっス?」
「今どきの若者に受けるネタがいいです」
「モノボケとか?」
「 前座なのでしょう。場をあたためるのが役割ですよ 」
「 コント。健康診断~ 」
「 はい。採血しますよー。ちくっとしますよー 」
「看護師さん、それボールペン!」
「 はい。視力検査しますよー 」
「看護師さん、それ、おたま!」
「 胃カメラとりますよ~。台の上で、ごろごろしてくださいね~ 」
「コ、コークスクリューナイアガラボンバーァァ!」
「——おもしろくねぇっ!」
「 ほら。頭に血がのぼって
しれっと
「……無難に楽器演奏にしておく」
片割れは
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