金杭の都
25 月鏡の離宮
この大陸は、はるか昔には、いくつかに分かれていたという。今は、その中心に大きな内海を持つ、ひとつの大陸となっている。
その昔、
都は内陸側にある。
山脈を下れば、緑豊かな台地が広がる。気候温暖な地だ。
数日はかかったものの、一行は、どうにか連帯を形作っていった。
途中参加してきた
それで、
「馬を隠スには馬の中と申しましテね」
「どういう造りになってんだ?」
ユスが感心するくらいに、
この大陸の馬も古来よりの原種は、すでに存在するはずもなく、それなりに個々に個性がある。四脚とは限らないし、大きさも様々だ。ただし、兵士の馬は統率を取るために、四脚、成人男子が乗りやすい
「本来は
「おモチもたれる」
「それは、持ちつ持たれつ、ナ」
そうして、ようやく、一行は都の近くまで来た。
「離宮で待てとのことだ」
ドルジが帝からの伝令を受けていた。
この緑豊かな平地には帝の離宮の一つ、
「宮中で帝は公務に忙殺されているからな。週末は離宮で休養するのさ」
ユスが教えてくれた。
「この
そう言えば、彼は、もともと帝に仕えていた。
「あ、湖!」
「湖の中にあるのが
ユスが言うとおり、湖にある島を土台にした壮麗な屋敷があった。
「湖の岸に控えの館がある。オレたちは、たぶん、そこで帝のお召しを待つことになる」
一行が、十二分に入れる広さの館。
「帝のお召しはいつになるかわからない。伝令が来るまでは、ここで休めということだ」
ドルジの言葉に、ようやく、皆の間に、ほっとした空気が流れた。
今宵は寝台に布団で眠れる。
「ふぁぁー」
「疲れたカ」
二人きりになったところで、
「あ。何も言わないから、怒っているのかと思った」
「〈その
〈その
「
「タワシもダ。やり方、忘れてルかと思っタが、昔行ったタカラヅカ」
「
引戸を閉めた次の間から、
「この部屋の周辺、離宮付きの使用人は、すべて
「りょーかい」
「
「りょ、了解でっす」
だんだんと、
さて、
(それでも、月は同じだ)
夜、
満月を過ぎて、また欠けていく月だ。
外の渡り廊下に出てみた。
そして、月は湖にもうひとつ、その姿を落とし、その水面の月を横切る小舟がいた。岸辺の館には、桟橋があり、小舟は、
「
小舟から桟橋に降りた者は、明かりを灯した供の者を連れて渡り廊下に入ってきた。
「名乗れ」
返って来た声も、また静かだった。
「――銀の髪。では、お前が神官騎士か。おまえがいるということは、月の
男は
「そなたか」
「名乗らぬか」
じりっと、
「ははっ」
いくつか、ばたばたと足音が近づいてきた。ユス、トゥヤ、ドルジが、渡り廊下に飛び出してくる。
「陛下……」
ドルジがひれ伏した。ユスもだ。
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