第8話 工場

ひねくれた校長だと文句を言いながら、1人で下校していた高島。

「サキス兄さん。あの校長ちょっとどうかしてるって!」

「サキス兄さん?誰だそれ」

「サキスのことに決まってんでしょ!」

「……ああ、そういうことか、アニサキス…か。高島、俺はアニサキスじゃないし、アニサキスは海だぞ?」

「知ってるよ。まぁいーじゃん?」

雑談しながら歩いていると、彼はあることに気づいた。

「そういや、ここ最近は外暗くないけど、アクシスやめたのかな?」

「いや、そんなわけないだろ。多分今は休憩中なんじゃないか?……ってか超今更だな」

「話の都合……じゃん?」

「ん?見ろよあれ」

サキスが何かに気づいて、高島にその方を向かせた。すると、朝にはなかったはずの、超巨大な工場が建っていたのだ!!!!!!

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎⁉︎」

「いいリアクションだな。それにしても、いつこんなのできたんだ?」

「朝にはなかったはず………」

どうやらその工場はアクシスのものらしい。でっかく描かれたアクシスのマークは、全てダイヤモンドでできていた。

「AXIS……アクシスか。なんでこんなところに、こんなでっかい工場が。ここら辺は公園だったはず」

「基本的に公園は国や地方自治体の公有地だ。民間に払い下げられて、商業施設や住宅が建てられることはあり得なくはないが、環境保護が重視されるなか、むやみに公園を工場に変える可能性は低いと思う。なのになぜ……」

「地味に詳しいのなんなん?」

高島はしばらく工場を見ていたが、宿題を思い出して家に帰った。

「ただいま〜」

「お帰り。ねぇ工場が建ってるけど、どうしたの?」

「知らないよ。テレビでやってるかも」

テレビをつけてしばらくすると、ニュース番組が始まった。1番最初のニュースは、アクシスの工場だ。

「株式会社アクシスが今日から、全国の公園に工場を建設することを発表しました」

「弊社は全国の公園に工場を建設します」

今映像に映っているのがアクシスの社長、悪氏寿あくしす眞田さなだだ。

「炎上しそうな話だな」

「だよね絶対炎上するよね」

記者が眞田氏に聞いた。

「公園を工場に変える躊躇ためらいはなかったのでしょうか?」

「ありません。逆にありますか?」

「最近公園が減少してきているそうですが、そのことについては…」

「減ってきてるなら別にいいじゃないですか」

眞田氏は表情を一切変えずに、その会見は終わった。

「……まぁなんとかなるんじゃん?」

「おい高島、きっとこれはとんでもないことになりそうだ」

「マジ?まぁそんな⤴︎気はした」

サキスはいつもよりも真剣な顔……は見えないから真剣な声だった。

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