第5話 本番

部屋中が慌ただしくなってきた。机を用意したり、マイクテストしたり、カメラの位置を調整したりしていた。

生放送で、学校中に配信される。今回の配信が、のちの総選挙の結果に響いてくるのだ。

「落ち着けよ?大丈夫、俺がお前の良いところ言ってやっから」

「わかってるよ。ふう、よし」

いよいよ本番だ。

「よーいSTART」

まず最初は滝波真風諾と浅野あさの奏美かなみだ。

「こんにちは。推薦責任者の浅野奏美です。私は、滝波真風諾さんに就任してほしいと思い、推薦しました。彼女は、この学校をよりよくするための方法を、3日も寝ずに考え続けました。そして、とても素晴らしいことを思いついたのです。それではどうぞ」

浅野がどいて滝波が前に出る。

「はじめましての方ははじめまして。そうでない方はこんにちは。滝波真風諾です。名前はふざけていても、性格はふざけていません。私は学校をよりよくするために、このようなことを考えました。それは、手品です。最近はコロナや某国など、さまざまなことが起きています。これでは心身共に疲れてしまいます。そこで、私が得意な手品を披露し、皆さんを楽しませる!なんてスンバラシイ考えじゃないでしょうか⁉︎⁉︎皆さんの清き一票をよろしくお願いします」












次は鑰匙間やくしまきらとと、郡間ぐんま優斗ゆうとだ。

「皆さんこんにちは〜ゆうちy…ゲフンゲフン、郡間優斗です(危ねぇ)。僕は鑰匙間きらとさんを推薦します。きらとさんは、明るいクラスのムードメーカーです。どんなに辛い時でも、明るく振る舞ってくれます。また、勉強も運動もでき、リーダーシップもあるのでみんなから頼られています。それではご覧下さい!究極の立候補者…鑰匙間きらとさんです!パッパララ〜パッパッパッパ〜〜」

「こんにちは、鑰匙間きらとです。僕は、この世の中、かなりの鬱憤うっぷんがあると思います。みなさんも、言いたいこと言えない、言ったら炎上する。なら黙ってよう。黙れば生き残れる。喋ったら死ぬ。叫べば批判されるから叫ばない。大人しい人間を演じ、上司の機嫌を取る。嫌だと思いませんか?確かにこういうのも必要ですが、毎秒これをやれと言われて、はい!やらせていただきます!ありがとうございました!って思いますか?もはや江戸時代に逆戻りしているこの時代、令和れいわではなく0れいわですね。そこでです。学期末に一度、何を言ってもいい日を作るのはいかがでしょうか?悪口を言ってもいい、相手の前で言っていい。暴言を吐き散らしてストレス発散しませんか?そうすれば、ストレス太りや過労死、病気、自殺などの事態を防ぐことができるのではないでしょうか?遠慮なんていりません、とにかく思ったこと叫んでください。僕はこの日を悪態デーと名付けます。皆さんも、楽しくストレスを発散して、元気に過ごしていきましょう!ぜひ僕に皆さまの一票をよろしくお願いします」

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