あなたは、絶対に騙される!!逃げた恋の記憶

あけち

1話 お前は誰だ

俺、明智天(あけちそら)は、走っていた


燦々と降り注ぐ太陽の中を横にいる彼女と二人で


周りからは、サイレン音が聞こえる


そう、警察に追われているのだ


彼女もまた、必死で俺の左手を引っ張りながら走っている


周りを見渡せば、路地裏でゴミ箱から食べ残しやゴミが出ている


天「汚いな..」


伊吹「ちょっと、そんなこと言ってないで走ってよ!! 今の状況わかってる? 捕まったら終わりなんだよ!」


天「大声出すなよ 聞こえてしまうぞ」


伊吹「....はぁ、なんでこうなっちゃったんだろ..」


天「…」

俺は、走りながら空を見上げて30分前の出来事を思い出す






俺は、東名(とうめい)大学に通う2年、進学と同時に両親共に大学の近くに越してきた


正直、両親と一緒に暮らすのは嫌だったが、両親がうるさかったので、仕方なく許した


今日、平等 伊吹(たいら いぶき)が俺の家にくる 両親もいないので大学に行く前に自分で掃除をし、万全の状態だ


ちなみに、俺と伊吹は恋人ではなく、大学1年次に授業で仲良くなった友人だった


伊吹は、長いサラサラな黒髪が綺麗で、服装も落ち着いてて清楚ってやつだ






ー明智家ー

伊吹「あれが天(そら)の家?」

天「あー、そうだよ、あれの7階」俺のマンションは、東名大学から田舎よりの場所にある

伊吹「へぇー、」

天「いや、感想それだけかよ!」

伊吹「ごめんごめん、天があそこに住んでいると思ったら、何かムカついて(笑)」

天「俺そんなに嫌われてんのか...」

伊吹「冗談だって(笑)」

俺たちは、雑談をしながら、ロビーに入り、エレベーターの番号を押した

伊吹「急に遊びに行きたいって言ってごめんね」

天「いや、全然 てか、前言ってたゲームをできるからちょうどよかった」

伊吹「そうだった! あれ2人でやると神ゲーらしいからね 1人でやるとつまらないらしいけど(笑)」

天「そうなんだよな、1人だとつまらなくて」

エレベーターが降りてきたので、伊吹は7回のボタンを押した





ー嫌な気配ー



俺たちは、7階に着いた 俺は長袖を着ていて、暑いなと思い、空を見上げていると


伊吹「何してんの?」といい、俺の部屋の前で早く早くと言わんばかりに手招きをしている


せっかちなやつだ


俺は、部屋の前にきて鍵を開けた


天「ん?」俺は、立ち止まった

伊吹「どうしたの?」

天「靴が散乱してる...」革靴が無造作に散乱している

伊吹「ほんとだ...家を出る前は靴並べたの?」

天「しては無いが、こんなになってたら、流石に並べる  俺が最後に出て、両親は会社に行ってるはず..」

伊吹「何か忘れ物して戻ってきたとか?」

天「....急いで戻ってきたわりにしっかり鍵を閉めるか?」

伊吹「......えっ?....」

天「それに玄関で俺たちが話しているのに誰も出てこない...」

伊吹「急いで、帰ってきて忘れ物を取ってもうすでに会社に向かったから鍵を閉めたとかは?」

天「.....父さんの靴はシューズラックに入れてあって、会社に行く革靴だけが玄関に置いてあるのが普通なんだ その革靴があるってことは、まだ家の中にいるってことなんだよ…」





俺は、慎重にドアを開けて中へ進んでいった



テレビの音が聞こえる ニュースが流れていた


テレビ「あの事件から7年の時が経ちましたね 

              本当に悲惨な事件でした…」


俺の鼓動が早まる


汗が滴り落ちる、妙な寒気が俺を襲った


伊吹「ねぇ、天のお父さんいないし、なんか臭わない?」

天「へ?」

俺は、匂いを嗅いだ

天「....鉄のような匂いがする...」鼓動がさらに早くなる。

伊吹「...だよね..それに..来てこんなこと言うのはあれだけど、なんかいや感じがする..」

天「...部屋を見渡してくるから、ここで待ってて」

伊吹「うん..」

俺は、慎重に周りを調べた






俺は、一通り調べたので伊吹の元へ帰った

天「おい、伊吹 父さんがいない... あれ、伊吹?」

リビングに姿がなかった

天「おい、伊吹ー!!」

大声で呼んでも返事もない


俺は、廊下に出て、また探索した










そこで、棒立ちしている伊吹を発見した なんだ…?



天「おい、伊吹どうしたんだよ?」

伊吹「.............」

天「...おい、伊吹?」


伊吹「....天...私どうしたらいいの?」と言って、しゃがみ込んで泣いていた



天「は?どういうことだよ」



俺は、伊吹の元へ駆け寄り、廊下横のクローゼットを見た 





先ほどは、開かなかったはずだが...楽々とあいてしまう



俺は、固まってしまった






俺の父親が首から血を流していた


瞳孔が開ききっていた



俺は、しゃがみ込んだ伊吹の右手を引っ張り玄関へと走った


伊吹「ぐっ...すっ..ん..」まだ、伊吹は泣いていた

天「....」玄関を飛び出し、階段の方へと向かった


伊吹「...っ..」泣き止んだ

天「....は....っ...はっ」




階段をゆっくり降りていった


伊吹「..なんで逃げたの?」

天「逃げるしかなかった、もしかしたら殺人鬼があの部屋にいるかもしれないから」

伊吹「殺人鬼...?」

天「あの家にまだ滞在している可能性が高かった」

伊吹「...それだったら、わたしたちを襲わない?」

天「殺人鬼は、未知数な俺たちが立ち去るのを待った方が合理的だと思ったんだろ」

伊吹「警察を呼ばなきゃ」

天「...」警察か  




あそこには、「あれ」がある....まずいな..




天「その前に一旦落ち着いてマンションを出よう」

伊吹「そうだね…」

と、俺たちはマンションをでた人通りの少ないところで、


大勢のパトカーの音が突然聞こえてきた


天「なぜパトカーがこちらに向かっているんだ?もしかして、殺人鬼が警察を呼んだのか? だとすれば...」

伊吹「だったら、やばくない?」

天「あぁ、だったらまずいな 証拠を隠滅している可能性も必然的に高くなるし、 俺の指紋が部屋中にある 俺は、父さんの体を触ってしまっている」

伊吹「えっ...」

天「殺人鬼はもしかすると、俺を嵌めようとしているのか?....伊吹」


俺は、伊吹の方を見た


天「自分の家にいたことに..」と、声を遮るように伊吹が

伊吹「なんで、違うでしょ...天は何もしてない 警察に事情を説明しても話を聞かないだろうから、逃げるしかないよ!」


天「...」


父さんの遺体の後ろ側には、長い髪の毛が落ちていた



それもサラサラの黒髪だった










一瞬でわかった伊吹のだと



伊吹「ほら早く!」俺の手を引っ張って走る



そして、今に至る




ー警察ー


私は、蒲田海斗(かまたかいと)警部補の42才だ

ガイシャの近くはもとより、いろんな場所に同じ指紋があった



鑑定に回すと天童 風(てんどう ふう)のものだとわかった



昔に何か犯罪をしたのか?と思い、データベースにアクセスする


蒲田「おいおい、嘘だろ」




画面には、7年前に同級生を1名殺した少年の顔写真が出る


年齢は、現在だと20才 それ以上のデータは出てこなかった


蒲田「刑事罰を逃れたやつが成人になって殺しか


   ...すぐ決めるな、足元すくわれるぞ だったな」



蒲田「じゃあ、ちょっと現場行ってくんわ留守番頼んだよ」と伝え現場へと向かった



ー現場ー


蒲田「なんか見つかったかい?」




蒲田「学生証ねぇー、明智天 ここの息子さんだよね」

来る前にガイシャの身元資料を読み込んでいた


蒲田「重要参考人として手配して」


現場内を捜査し始めた

         

     

              


              

              

蒲田「なんだこれは....」明智天のベッドの下から黒い長細いものが見えた


恐る恐るそれを引っ張り、取り出してみると、血まみれの包丁が出てきた


蒲田「....父親殺しだって言うのか... だが、」蒲田の頭に天童風の顔が蘇る

蒲田「だったら、なぜ、この家に天童風の指紋があるんだ...」


天が女性と一緒にマンションを出る姿が監視カメラに写っていた 

それもさっきのことだと、蒲田に報告が届いた


蒲田「大至急、検問張って 

      俺は明智天の友人に会いに行く 近くの東名大学らしいからな」


天の部屋にあった写真を見ながらそう言った。





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