優秀なヒロインたちに与えられた任務は、最強の英雄の子供を産む事だったが、戦地では優秀だが恋愛面では初心にも等しいらしい。機械文明現代ファンタジー

三流木青二斎無一門

『日継小隊』

南区より、武装状態にあたる盗賊の姿あり。


前日から続く機械生命体との戦闘により、盗賊に対して戦力を回す余裕がない。


従って今回の盗賊の討伐は日継小隊に任命されたし。


なお、盗賊たちの推定人数は300名に対し日継小隊の兵数は四名である。


「キルギアが破壊されたァ!」


盗賊の一人がそのように叫んだ。

彼らの武装はその人数に対して8割が重火器を装備していた。

そして残りの2割はキルギアと呼ばれるある生命体の肉体から製造された特殊な武器を所持していた。

キルギアは数多くの種類が存在するが男性が操作することのできるキルギアは、肉体装着型装甲兵器と呼ばれる自分自身の肉体を機械が覆う、パワードスーツである。


その盗賊が所持しているパワードスーツは、機械戦争によって量産された第二世代のパワードスーツを装着しており、これを使って様々な拠点を襲っているらしい。

彼らが目を付けた拠点だがそれはもう運が悪いとしか言いようがなかった。


「畜生、まさか治安維持の軍事拠点だとはっ!」


そのように盗賊の一人が説明をした。

現在世界は崩壊しつつある。

この世界へとやってきた機械生命体と呼ばれる侵略者によって人類が抹殺されていたのだ。

そして人類は機械生命体に対して先頭を繰り出す機械生命体の死骸を使って作り出したキルギアを操り、機械生命体に抗戦し続けていた。


「それだけじゃない。『聖機女神デウスエクスマリア』だッ」


聖機女神デウスエクスマリア


機械生命体の肉体から採取された細胞。

ナノマシンを人間の肉体に投与することで機械生命体と同等の肉体の能力を上昇させることができる。

しかしそのナノマシンの適合率は男性と女性ではかなりの差があった。

男性がナノマシン適合率が約30%に対して女性の適合率は約70%である。

そしてナノマシン適合に対して驚異の90%を超えた女性を人体兵器聖機女神デウスエクスマリアと呼んだ。


その3人のうち一人が地面を疾走していた。

生身の盗賊たちは重火器を使用して懸命に少女に狙いをつけながら発砲をしている。


しかしその症状は銃弾を食らっても平気な表情をしていた。

彼女の肉体はすでに機械と同等であり弾丸の雨を受けてもその衝撃が機械細胞によって吸収されていき彼女の体に穴を開けることすら叶わず地面に向けて落下していく。

黒色の修道服をのような格好をした少女はその手に持っているキルギアを振り上げる。


巨大な十字架のようなその武器を盗賊たちに向けて振ると鈍い音と共に盗賊は数メートル吹き飛んで地面へと転がった。


「このようなあくどい非道な真似をするなど決して許されません、悔い改めなさい」


そう言うとともに彼女は自らの丸メガネを動かした。

先ほどの運動によってメガネの位置がずれてしまったらしい。


『アイギス、そちらの様子はどうだ?』


機械でできている彼女の体の内部には通信機が設置されているまる頭の裏側から響くような声が聞こえてくると彼女は脳内で思ったことを通信機に乗せて通話をしている相手に向けて発信した。


『こちらは問題はありません、空を飛んでいる第2世代のパワードスーツの方は如何しますか?』


そう言うと再び彼女の頭を中に男性の声が響いてきた。


『こちらの方は問題はない。第2世代のパワードスーツを着込んだ元パイロットと見て良いだろうな、なかなかいい腕をしている』


『敵を褒めてどうするのですか隊長』


すまん、と一言添えた末に、こう続けた。


『しかしパワードスーツは約60名ほどだ、これくらいならば俺一人でも十分すぎる、だからお前たちは陸上の盗賊たちの討伐を頼んだ』


『了解しました』


そのように彼女アイギスは隊長と呼んだ男に対して了承の言葉を旨にする。

その男は大丈夫だと言っていたが曲がりなりにもパワードスーツを着込んでいる元パイロットが相手だ。

大群に対して男性は孤軍で相手をしなければならない、それは無謀に等しい行為だ。

しかしアイギスは体隊長が負けることはないと信じていたら。

自分たちができることはただ一つ隊長から与えられた命令を実行するのみだった。


「そういうわけです、レディノヴァ、シャルル、引き続き、陸上の盗賊討伐を行います」


その言葉とともに彼女の元へと向かってくるナイフを握りしめた盗賊が接近してきたとともに彼女は振り向きざまに巨大な十字架を振って盗賊をなぎ倒した。


「他の二人とは違って私は平和主義です、なのであなた達の命を取りませんがそれでも想像を絶する苦痛を受けてもらいますこれは私たちの領土を侵略し略奪しようとしたあなた方への罰です」


アイギスはそう言って十字架を構える。

先ほど彼女に向かって攻撃しようとした盗賊は地面に転がっていて下半身が180度折れ曲がっていた。


「前に略奪したミサイルランチャーがあった筈だ、それを使え!」


その盗賊の言葉とともにどこから持ってきたか大型のミサイルランチャーを取り出してくる盗賊が銀髪の少女に向けてトリガーを引き抜く。

そして勢いよく射出されるミサイルが銀髪の少女に向かっていく、しかし銀髪の少女は慌てる様子もなく向かってくる水色に向けて自らの掌を伸ばしてミサイルに触れようとする。

するとミサイルはまるで空き缶のように握りつぶされるとそれとともに爆発が発生するまるしかしどういったことか爆発を周囲に飛び散ることはなく彼女の手のひらから発生する黒い渦の中へと飲み込まれていった。


「じ、重力操作のキルギアっ」


冥王の地平線シュワルツシルト・コラプサー』。


銀髪の少女、レディノヴァが肉体に植え込まれた機械生命体の核から発生する能力であった。

銀髪の少女はつまらなそうにあくびをして日傘をくるくると回していた。


『日継隊長様、少し面倒になってきましたが私が一足先に戻りお茶などを飲んで休んでいてもよろしいでしょうか?』


彼女の通信機の言葉に日継ひつぎ零児れいじは苦笑いを浮かべる。


『悪いが休んでいる暇はないんだ、盗賊の討伐が完了したら次は機械生命体を討伐しなくちゃならない』


日継ひつぎ零児れいじの申し訳のない言葉を聞いた彼女は仕方がないと言いたげながらもそれでもどこか不満が募っていたまるそれを見越してか男は彼女に対して。


『今回の襲撃が終わったら司令官に立ち入って新しい服を作ってもらえるように掛け合ってみるさそれでどうにか機嫌を直してくれ』


新しい服丸その言葉を聞いた彼女は少しだけやる気に満ち溢れた。

何よりも隊長が頼んでいる。

自分のために上司に頭を下げると言っているのだこれで頑張らなければ彼にも不義理を働くことになるだろう。


『承知いたしました今回の戦いはあなた様のために勝利を誓いましょう』


その言葉とともに彼女が軽く指を振ると彼女の両隣に巨大な黒色の渦が生まれた。


「レディノヴァが参りましょう…、超新星の終焉を見届けなさい」


彼女の笑みは無邪気ながらも死神を連想させた。


「頼む勘弁してくれ俺たちが間違っていた」

慈悲を乞う盗賊の情けない声が響きわたる。

重火器を捨てて降伏をするがしかしその瞬間に鋭い熱光線が盗賊の首を切断した。


「あなたたちなんてどうでもいいどうせ生きていたって誰かに迷惑をかけるんだから…汚い汚い汚らわしい…」


そのように声を漏らしながらピンク色の髪を揺らす首元に鎖をつけたい少女がそう声を漏らした。

彼女の周囲には無数のドローンが展開されていて彼女の意思によって動き出す。

そしてそのドローンに搭載されたレーザービーム機能によって直線上に存在するあらゆる物体を焼き切ることのできる熱の刃を所持していた。


「いや…もういや…こんなことしたくないのに、こんなところ居たくないのに、どうして私が…こんなことをしなくちゃいけないの…気持ち悪い、気持ち悪い…誰か、誰か私を…助けて…」


彼女の悲痛な叫びに対して通信機で声が聞こえてくる。


『シャルル、お前には辛い思いをさせてしまっている、それでも頼むこの状況を打破するために戦ってくれ』


『日継様…あなたがそういうの、なら…だったら、どうか、お願いします…、私に、勇気をください』


彼女の願いに対して隊長は頷いた。


『お前ならできる、俺は信じている』


その言葉を聞くだけでシャルルは心地よい気分になった。

自らの下半身慰める行為よりも、麻薬を摂取して幸福状態に陥ることよりも、隊長の言葉は彼女にとって何百倍もの勇気と多幸感を与えてくれる。


『頑張る、…私、ここにいる全員を、命も残らず殺しますから』


そう宣言するとともに日継ひつぎ零児れいじは了解の言葉を口にすると通信機を切った。

日継ひつぎ零児れいじはパワードスーツによって重力操作を行う空中浮遊している。

その周囲にはまだ多くの盗賊たちがパワードスーツを装着していて日継ひつぎ零児れいじの周りの浮遊していた。


『おいおいこいつはお笑いだぜまさかこの時代に〈旧式ヴィンテージ〉を使っているとはなぁ!』


盗賊たちは日継ひつぎ零児れいじのパワードスーツを見てそのようにあざ笑った。

それは仕方がないことだろうまる日継ひつぎ零児れいじが装着しているパワードスーツは機械生命体の肉体を使用して初めて作られた量産型のパワードスーツだった。

その性能は新しい時代になると共に高性能になっていく。

日継ひつぎ零児れいじの初期型の量産機では第2世代第3世代のパワードスーツには劣ってしまうだろう。

だから盗賊たちは彼女達よりはいくらが日継ひつぎ零児れいじの方が弱く見えてしまう。


『ちょうどいいどうやらこいつはこの部隊の隊長だ、生け捕りにしてあの女どもを脅してやるか』

『そりゃいいなあの女どもにはたくさんの仲間を殺された服をひんむいて犯してやらなきゃ気が済まない』


下劣な会話が響き渡る。

日継ひつぎ零児れいじが共用の通信機を切ってしまおうかと思った。


『俺は慈悲深い人間じゃないがそれでもあまりむやみな殺生はしたくはない性質だ、しかしそれでもお前達が俺の部下を侮辱した』


怒りがこみ上げてくる。

日継ひつぎ零児れいじはパワードスーツが握りしめる武器を構えた状態で日継ひつぎ零児れいじの能力を発動するとパワードスーツから蒸気が噴出した。


『あまりにも旧式だからか暴走状態になってやがる』

『…あ?いや、違う…こいつは、まさかっ』


その言葉とともに通信が途絶えたまる先ほどまで喋っていた盗賊は一瞬のうちに破壊されて地面に向けて落下するセミのように見えた。


次々とパワードスーツを装着した盗賊たちが撃ち落とされていく。


『っ、あっ、思いだし、た。たし、か』


盗賊たちはあの伝説を思い浮かべる。

かつてこの地で機械戦争と呼ばれる人類と機械生命体との争いごとがあった。

機械生命体の能力基盤を人間の肉体に移植して機械生命体の能力を人間は宿すという実験をしていた。

そしてある一人の人間が能力基盤をその肉体に宿したことで超能力に等しい能力を手に入れたのだった。

そしてその男の伝説は数多く、最強と言われるほどまでにその強さを手に入れた。

その男は能力基板を利用してパワードスーツの制限を無理やり解除して能力値以上の性能を発揮することができる能力に目覚めた。


その能力者の特徴は一度能力を使用するとその過度なエネルギーをパワードスーツが吸収してしまいパワードスーツの制御コントロールが暴走し能力値以上の性能を引き出すことができるまるその際に暴走した制御コントロールの熱が排出口からものすごい勢いで蒸気を噴出するのだ。


『まさかこんなところに伝説がぇあッ』


その言葉を最後に盗賊の一人が日継ひつぎ零児れいじの手によって殺された。

数時間後、周囲には生きている人間などおらず…ここにまた新しい伝説が築かれたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る