月極迷宮主(マンスリーダンジョンマスター)
まるま堂本舗
第1話
今日も日課である冒険者ギルド掲示板を確認しに来た。いつもの定番、ゴブリン退治に、遭難者捜索といった緊急性もあり、長期計画な依頼が複数貼ってある。
「おい、なんだあれ?」
依頼というより告知が掲示されていた。
『所有している山に、突如穴が開き、内部がどうなっているか調査して欲しい。単独でも、複数でも探索調査してくれる冒険者を求む。別途、説明会を開くので、勇敢なる冒険者の参加をお待ち致す』
新規ダンジョン探索なら、多数の冒険者が集まるだろう。まずは、説明会とやらに参加してみるか。
説明会当日、ギルド近くのホールが会場となった。普段からギルドに通っていると、有名冒険者や悪名高い荒くれ者といった、顔が知られている人物が集まっていることに気付く。
開始時刻となり、正面ステージには、介助が必要な爺さんと支えている赤いローブを着た女性が登場した。その女性が、拡声器を爺さんの前に固定設置し、説明が始まった。
「んぁ~、ぁっ、依頼主のラギンだ。見ての通り、老いぼれだ。私に力が残っていたら、自ら探索するんだが、年には勝てん。今、集まってもらっている君達に頼みがある。私の山に、どうもダンジョンが生成した可能性がある。そこで、依頼書に書いたように、ソロでも、パーティでも構わないから、ダンジョン内地図作成と探索を頼みたい」
やたら、眼力のある老人だが、元冒険者なのだろうか?
「質問いいか?」
冒険者が聞いてきた。
「こんな大人数が、アンタの所有している山のダンジョンらしいものに行っていいのか?複数の階層に入るわけだろ」
「今回の依頼は、最初の1階層をまず調べてほしい。まず把握したいんじゃ」
「モンスタードロップや中で拾った物は、総取り出来るんだろうな?」
「さっきも言ったように、全体を把握したい。くすねたりせず、報告すること。遺物も盗むな」
こういうやり取りの後、参加者は、別途ギルドに申請書にサインして第1回探索の期日を待った。
ギルドのある街から、3時間ほど行った場所に、依頼主である爺さんの山があった。
「この穴に、よく気付いた」
土砂崩れの跡であるその場所から、異様な感覚がある。匂いというべきか、察するものか。
やがて、ダンジョン入り口には、20組近くのパーティが集まっていた。
「よく集まられた、冒険者諸君。まずは、1階層と2階層への降りられる場所を調査してほしい」
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