捕まった

主人公「ひっ!?」


幼馴染「どぉしたのぉ?」


主人公「こ、これ、何なんだよ!?外せよ!」


【主人公】がそう叫ぶと、【幼馴染】の表情が……笑顔から無表情へと変わった。

口だけが少しだけ動いているので、耳を澄ませた。


幼馴染「……【主人公】が悪いんだよ。そうだよ。全部、【主人公】が悪いんだよ。私は悪くない。【主人公】が私を見ないから。そう、【主人公】が私を……」


主人公「ひっ!!!」


全部、【主人公】のことだ。

無表情のまま、尋常じゃない早口で呟くその姿は恐ろしかった。


主人公「くそっ!くそっ!外れろよぉ!」


ガチャガチャガチャガチャ


手錠を外そうと、試行錯誤してみるが……手錠はびくともしない。

どうやらおもちゃの安っぽい手錠ではなく、どこから手に入れたのか本物の金属製の手錠のようだ。


一心不乱に【主人公】は力づくで手錠を外そうと奮闘していると、後ろからニュッと手が伸びて、【主人公】の手を掴んだ。


幼馴染「ダメだよぉ……【主人公】の綺麗な肌が傷ついちゃうでしょ?」


主人公(お前がやったんだろ!)


そう叫びたいが、今の【幼馴染】は何をするか分からない。

言葉を放つときは慎重に考えないといけない。


母さん『【主人公】ー、ご飯よー!』


必死に策を考えていると、下の階から母さんの声が響いた。


主人公(しめた!)


主人公「な、なぁ……朝飯食べないといけないだろ?だから、これ外してくれよ。」


幼馴染「……ダメ。大丈夫だよ。おばさんから、朝ご飯もらってくるね。」


主人公(くそ…ダメか)


【幼馴染】が朝飯を取りに【主人公】の部屋から出ていく。


主人公(今、俺がとれる選択肢は……)


①部屋の鍵を閉じる。

②手錠を外す。

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