第13話 帰り道

 俺はスキー部のLINEグループに入れてもらい、同室だったみんなと個人的にも繋がった。よし、これで雪哉にも連絡が取れる。

 みんな車に乗り込み、それぞれの実家に帰る。実家が近い人に乗せてきてもらった人もいる。俺の事は、神田さんが送ってくれる事になった。

「神田さん、実家に帰らないの?」

助手席に乗り込みながらそう言うと、

「来週バンドの練習があるだろ。」

と、神田さんが言った。そうだった。春休み中にライブがあるのだ。そのために週一回くらいは練習を入れてある。それゆえ、神田さんは大学近くの下宿先へ帰るというわけだ。

 送ってもらいながら、俺は神田さんに聞いてみた。

「神田さん、なんで雪哉をスキー部に勧誘したの?」

「ナンパしたって言っただろ。」

「いやだから、なんでナンパしたんだよ?」

「そりゃお前、イケメンだからだよ。最初はバンドに誘ったんだけど、あいつ音楽は苦手だって言うからさ、それならスキーはどうかって。」

なるほど。スキーが上手い事を知っていて誘ったのではなく、最初はバンドに誘ったのか。

「なんだ、俺と一緒か。」

俺が言うと、

「お前と雪哉は違うよ、全然。」

前を向いたまま(運転しているから当たり前だが)、神田さんがそう言った。

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