第14話 会いたくて
東京の実家に帰った俺。比較的暇な生活をしていると、どうしても・・・雪哉に会いたくなってしまった。出逢ってから、一週間毎日ずっと一緒にいたのに、急に離ればなれになってしまって、あれは夢だったのではないかとさえ思えてくる。
あんなにイケメンで、スキーが上手くてバスケも上手くてバック転さえできちゃうやつ、他に見た事がない。それでいて、オレオレ感がなくていっつも笑っていて、可愛いやつ。
やばいやばい。思い出すと苦しい。しかも俺たち、事故とはいえキスまでしちゃって・・・。うっ、やられた。とにかく、会いたい。友達なんだし、連絡してもいいかな。でも、しつこいやつだと思われたくない。暑苦しいやつだと思われて、避けられたらどうしよう。
悶々とした挙げ句、とにかく遊びに誘ってみようと思った。雪哉は東京都民なんだから、多少遠いけれども電車に乗ってこっちに来られるだろうし。そうだ、吉祥寺とか八王子とか、その辺で会えばいいのでは?
というわけで、思い切って夜の9時頃、雪哉に電話をかけた。スキーから帰ってきて4日ほど経っていた。
「あ、もしもし?雪哉?」
「涼介?どうしたの?」
「あの、さ。今度遊びに行かない?同じ東京だしさ、映画とか観ない?八王子なら出やすい?」
手に汗を握りながら、一気に言った。だが、
「うーん、そうだねぇ。行きたいんだけど・・・。バイトあるし、ちょっと無理かなあ。」
と、断られてしまった。こういうのもあっさりと言うのだろうか。一応、行きたいんだけど、と言ってくれたが、本心はどうだか。俺、フラれたのかな。
そういえば、自分からデートに誘うとか、初めてかもしれない。友達とどっか行こうというのはまあ、あったかもしれない。けれども、彼女と二人でどこかに行く時は、大抵彼女の方からここへ行きたいとか、いついつに会おうとか、一方的に言われてOKするだけだった。
「そっか、んじゃ、またね。」
悲壮感を極力出さないようにして、電話を切った。そうか、俺まだ、ちゃんと雪哉に気持ち伝えてないもんな。まずは告白しなきゃな。だけど・・・やっぱり断られるだろうな。もし俺の事が好きなら、今のデートだって断ったりしないだろうし。ショック。そもそも、男同士で付き合う気なんか、雪哉にはないのだろう。そりゃそうだ。俺だって今まで考えたこともなかった。こんなに夢中になれる相手が、まさか男だなんて。
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