第11話 クランハウス

公爵家東側(大森林側)に道路を挟んでクランハウスが建立した。工期1年。

午後からメンバーで内覧予定だ。冒険者ギルドへの申請、登録はまだらしい。


朝食前


「食事が終わったら、僕の部屋にきてください。相談と報告があります。」


朝食後、今日は僕の寝室に集まってもらった。この後ベッドを使うためだ。

ルイは、となりの応接室に待たせている。


昨夜、アルヴォの日誌を読んだ後、彼とメルとの交際を母上に事前相談した。

その件は、全員の承諾を得ることができた。


「次に、旧Aチーム全員に一部の身体障碍、欠損、裂傷、暴行痕跡がある事の報告を受けました。詳しくは、ステータス画面のレポート欄に転送します。ご一読下さい」


ケンタさんは、一読すると難しい顔で深いため息をついた。

母上、あかねさん、なつみさんと子どもたち3人の表情からは、事の深刻さが伝わったことが見て取れる。


「それで相談です。僕のギフト 空間次元と時間次元のレベルが1に上昇しました。それで、試してみたいスキルがあります。事前に見てもらおうかとルイを隣の部屋に待たせています。呼んできますね。」


ルイを僕の寝室に招き入れた。

パーティメンバーを入れるのは初めてのことだ。


ルイは、みんなに向かって立ち止まり、無言で頭を下げた。深く、長く。



「ルイ、ベッドに仰向けで横になって」

「まず、彼女の状態をステータスボードに投影します。」


【3D地図生成】【ボディスキャン】

「修復可能個所を白色で表示します」


ルイの頭から足の先まで、等身大の立体図が、空間に浮かんだ。

左頬、右胸、背中、へその下から股関節の付け根あたりまでが白色になった。


左僕が左頬の白色部分に触れると、

《表情筋切断箇所、修復巻き戻し可能、消費魔力1950を必要とします》

ステータス画面に表示された。


「僕の魔力量は、現在3800です。

すべて白色の箇所を一度で治すことはできません。

また、素肌に触れることが修復条件です。


今は、左頬だけにスキルを使いますね。やってみます。」



【巻き戻し】



僕は右手を、ルイの左頬に添えた。

その右手が朱色のエフェクトに包まれた。

すぐに、ルイの左頬には、うすい緑色の光が現れ、そして消えた。


【ボディスキャン】


左頬は、何の着色反応も見せなかった。


ルイに上半身を起こすよう促し、姿見を指さした。

さあ、ルイの顔を拝みに行こう。


「一年間、黙っていて申し訳ありません」


顔が見えないよ。やれやれ


ルイは、しばらくまっても顔をあげることはなかった。肩が震えていた。


「明日から、少しずつ、治していきますね。全員。ただし、裸になってもらう必要がありますが・・・」


大人たちの微妙な顔。

子どもたちのぐぬぬという顔


それでもみんな、喜んでくれた。褒めてもくれた。ほっとした。



昼食後、今度は、パーティメンバーも集まり、クランハウスの内覧を行った。

主に、建物・設備の説明、管理人の指名は、ケンタさんがほとんどしてくれた。


本館 管理人 トゥイリン・エレンリエル

1F:エントランスルーム、食堂・厨房・応接室・待合室・談話室・診療室

2F:大部屋2、中部屋4

3F:個室16(トイレ付)


「リンとエルは、ここの管理をお願いします。

3階の部屋の鍵は、みんな管理人さんから受け取ってください。

必要なものがあれば、ステータスボードにて管理人あて申請してください」


リンとエルは向き合って両手を合わせて喜んだ。


別館(本館北側隣接) 管理人 ルインリアン・アルゥラ

1F:テナントショップ(武器・防具・農具、生活用具・ポーション類)

2F:住居用 2LDK 


「ルイとアル妹は、ここの管理をお願いします。

品入れは、みんなに手伝ってもらってください。

こちらの2階と本館の2階の両方の部屋を使っていいですよ」


ルイとアル妹は微笑みあってハイタッチした。



北棟(別館裏通 東側) 管理人 商業ギルド職員へ委託

1F:男性浴場(一般開放 未定)、女性浴場(一般開放) 利用料 大銅貨1枚  

2F:大浴場、中浴場 (混浴:クラン専用)


「こちらは、商業ギルドの職員に管理してもらいます。

私たちは、全員混浴となります。着用する服は、用意しておきます。素っ裸禁止だ。

レオ君が、みんなの治療を終えたら、利用開始としましょう」


男どもが万歳した。しかもウェーブ付き。



東棟(本館中庭東側) 管理人アルヴォ、メルウィング

1F:鍛冶場・簡易シャワースペース・トイレ 

2F:住居用 2LDK


「ここは、アル兄とメルさん、お願いします。

2階も防音効果がありますが、声の大きさには気を付けてください」


アルがメルの肩を組んでゆらしていた。メルはうつむいた。



南棟(本館中庭南側) 管理人ラッシ・エステル

1F:錬金場・簡易シャワースペース・トイレ

2F:住居用 2LDK


「ここは、ラッシ夫婦で使ってください。

2階も防音効果は、鍛冶屋ほどではありません。

ぜひ、試してみてください」


ラッシとエステルは、無反応だった。ジト目してた。


ケンタさんのプレゼンテーションが終わった。

みんな大喜びで、どこの部屋をメインにするかで盛り上がっていた。


僕はといえば、

夜中に目が覚めると、母上が抱きしめてくれていた。

ああ 好い匂い。なんだかいろいろ報われた気がした。


明日からも頑張ろう。

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ステータス(公開表示)

名前 レオ

種族 人種

所属 クラン名、およびパーティ名:設定してください。

レベル 0(1/10) ◎詳細

スキル 温度魔法2 ◆初級系統(水・氷・熱・風・石・炎・光) 

    温度範囲 ▽マイナス30~500℃

    速度範囲 ▽0~40m/秒  

ギフト 状態異常耐性3・△空間次元2・△時間次元1・魔力の絆


◎レベル詳細(+スキル加算分)

生命:50(+100)

魔力:300(+3500)

攻撃:50(+1000)

防御:50(+2000)

迅速:50(+5000)

知性:75(+200)

幸運:75(+100)


◆スキル:派生(中級生活系統・初級衝撃系統:緑・初級循環系統:朱)

◆スキル:合成(放水・散水・安地・首折・首砕)  

△スキル:空間(空間認識、拡張・重力操作・質量操作)

△スキル:時間(遅延・加速・並列・巻き戻し)

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