ブレス
真月陽
アウフタクト
息を吸う。指揮に、周りに合わせ、楽器に息を入れる。その瞬間に感じるのは、例えようもない高揚感――
吹奏楽部では良く一音入魂という言葉が使われているけれど、実際その通りだと思う。楽譜に書かれた全ての音に自分の全てを懸ける。「時間芸術」である音楽は、その一瞬に懸けなければ、聴く者を自分達の世界に引きずり込むことができない。本番は一度しかなく、生の演奏を聴くことも一度しかできない。どんな演奏をしたとしてもその一瞬が自分の全てとなってしまう。やり直しの利かない、独特の緊張感。本番の高揚感。そして吹き終わり立ち上がってから聞こえる、私たちを祝福するかのような拍手、そこから生まれる幸福感――これが私を、私たちを虜にさせるのだ。
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