第16話 晩ご飯 その3

「……ファミレスって、陽向…///」

「比較の対象が、違いすぎるよ!///(汗)」

「せめて、○○さんの所より美味しいと、言ってくれないと…///(汗)」


 結花は困った笑顔で、僕に言う……

 結花は料理に自信を持っているから、僕がファミレスを引き合いに出したことが少し不満のようだ。


 だが、最近の外食産業は、鶏の唐揚げに力を入れている。

 ○○○は美味しいと、クラスメイトの誰かが言っていた。


 けど、そんな話を結花にすることでは無いか!

 余計なことを言って結花を困らせたり、不満にさせる必要は無い。


「ごめん、お母さん…///」

「比較対象を間違えてしまって!(汗)」


 僕は、謝る表情で結花に謝る。

 僕の言葉で結花は、穏やかな表情に成って言い始める。


「大丈夫よ…。陽向!///」

「お母さんは、余り気にしていないから!♪」


 結花は僕の失言を許してくれるが、目の奥は笑っていない感じがした!?

 まぁ……こんなことぐらいで、親子げんかに発展はしないと思うが!?


 ……


 僕の家族は、他所の家族と比べれば、外食は少ない方だと思う。

 結花は料理を作るのが好きで有るから、自然と親子で外食をする機会は減る。

 僕はまだ中学生で有るから、圧倒的に外食より、家で食事を摂る時が多い。


 それに、僕と結花で外食をする時は個人経営の店が多い。

 和食のお店や中華料理店など……結花の場合は、新規開拓派ではなく、行きつけ派で有った。


 大手外食産業が、経営する店に行く時はハンバーガーショップ、牛丼屋、寿司屋が中心である。

 結花は女性で有るが、牛丼チェーン店へ平気に入って行く。


 ファミレスなんか本当に、何かの付き合いで利用するぐらいで有る。

 だが、その時のファミレスは、料理よりスイーツがメインなので、僕と結花は本当にファミレスで料理を食べることは少ない。


(まぁ……結花の料理レベルなら、ファミレス料理の殆どは作れるからな…!)

(チーズ入りハンバーグは当然。グラタンやドリアも嬉しそうな表情で作る!!)


 僕がファミレスを引き合いに出したのは、僕(俺)の前世は裕福で無かったから、ファミレスの料理ですら、僕(俺)にはご馳走に見えていたからである。

 結花は裕福な家庭で育っているし、孝太郎も公務員の技術職だから、並以上の給料を貰っていた。


 孝太郎が死んでも、遺族年金や孝太郎の生命保険。更には結花実家からの支援も有るから、極端に生活レベルが下がることは無かった。

 結花は、社会に出る前に身籠もってしまったし、僕のことを意識して、働きには行かず主婦を続けている。


「陽向!」

「何を考えているかは知らないけど、唐揚げが冷めちゃうぞ!♪」


 結花は和やかな表情で、僕に話し掛けてくる。

 結花は酒の力で、普段以上に和やかで有る。

 僕は晩ご飯に箸を付けず、誰かに説明するように考え事をしていた。


「あっ、うん///」


 僕は恥ずかしそうな表情で返事をして、晩ご飯を食べるのを再開させる。


「―――」


「―――」


 今晩も、結花と雑談を楽しみながら、同時に晩ご飯も楽しむ。

 鶏の唐揚げ以外のサラダも美味しいし、味噌汁も塩分控えめな割に美味しい!


 日がな一日。結花の側にいて、会話なんて尽きる物で有るが、僕は結花が好きで有るから泉のように話題は出て来る。


 結花の子ども時代や、結花の学生時代など……

 結花も、僕が結花の子どもだから、嫌な顔をせずに答えてくれる!


 そんな感じで今晩も、結花と楽しい晩ご飯の時間は過ぎていった!

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