第577話 冬の浮島・勇者の試練攻略パックツアー

「「ここは何処なのよぉーーー!!


なのよぉー、、、なのよぉー、、、なのよぉー、、、、、、のよぉー、、、、よぉー、、、、、」」



ビィさんとソニアさんの声が浮島に鳴り響いたところで



「2人とも落ち着いて下さい、ここは浮島です。その証拠に向こうに王城が見えるでしょ?」


「浮島?!」「本当に王城が、、、」



バルゴ王国の王城は無駄に大きいから、浮島からでも綺麗に見えて素晴らしい眺めだ。



「ちなみに浮島には勇者の試練があるんですけど、初代様の日記に試練の事は書いてませんでしたか?」


「、、、は?、、、いや、あの、ナガクラ様、情報が多過ぎて意味が分かりません(汗)」



そりゃあいきなり転移するし、着いたら浮島だし、だめ押しに勇者の試練とか言われたら理解が追い付かないのも仕方無い。



「おーい、ナガクラくーん」



我が家のリビングに居る時のように、短パンにランニングシャツ姿のシエーネさんがのんびり歩いて来る。


以前のシエーネさんならノーブラでランニングシャツを着て、色々な場所が見えそうで危険だったけど、今はちゃんとスポーツブラを着用してくれているので安心だ。



「急な予定変更ですいませんね」


「早く家に帰れるから文句は無いよ。既に知ってるだろうけど、そっちの2人は無事にキャラバンシティまで行ってくれないとボク達も困るからね」


「うんうん!」



アハハ


ヨウコさんも真剣な表情で顔をぶんぶん縦に振っているよ。


俺もビィさんに何かあると気分が悪いからな、やれる事はやっておこうじゃないか!



「勇者の試練に2名様、ごあんなーい!」


「はーい。ねぇねぇナガクラ君、ちなみに何処までやっていいの?」


「うーん、、、基本は打撲まで、骨にヒビが入る程度なら許容範囲内とします。」


「りょうかーい。ふははは、勇者の子孫よ、よくぞ辿り着いた。此処ハ第一ノ試練、我ニ勇気ヲ示セ。行くぞ!」


「ナガクラ様ぁー?!」「ひぃぃー(汗)」


「行ってらっしゃーい、勇者の試練は安心安全な場所なので、楽しんで下さいねぇー♪」



シエーネさんは人の姿のままビィさんとソニアさんを両脇に抱えて、試練のある洞窟の方に向かって行った。


珍しくシエーネさんのテンションが高かったから、やはり試練に挑戦してくれる人が来て嬉しいんだろうな。



「ビィさんとソニアさんが試練に挑戦している間に、ご飯を作っておきましょう。」


「それやったら久しぶりに赤いカップのきつねうどんが食べたいんですけど、あきませんか?」


「今回は色々と大変だったんで良いでしょう。」


「やったぁー♪」



ふふっ、久しぶりに無邪気に喜ぶヨウコさんを見た気がする。


スキルの「店」で売ってる食べ物は基本的には非常食という位置付けだから、それほど食べる機会は無いんだよな。


今日は各種カップ麺を買って自由に選んで貰うとしよう。



「そういえばヨウコさんって収納のスキルって持って無いんですか?」


「収納に限らずスキルは何も持ってませんね」



神獣なのにまさかのゼロスキルだったとは知らなんだ。存在そのものがチートだから必要無いんだろうけどさ



「じゃあ、マジックバッグをプレゼントするんで持っといて下さい。」


「宜しいのですか?」


「宜しいも何も言ってくれればマジックバッグくらいプレゼントしたのに」


「いえ、我々の立場でナガクラ様に何かを要求するなど、出来ようはずがありません」



神獣が難しい立場なのは理解してますけど、ヨウコさんもシエーネさんも、『お願い』はよくして来ますよね?


何かを『要求』された事は無いからいいんですけどね。



「色んなメーカーのきつねうどんをとりあえず100個購入っと」


ドサドサドサッ


「おおっ?!宝の山だぁーー♪」



カップ麺が宝の山とか、安い宝の山だなぁ。



「「ぜぇはぁ、、ぜぇはぁ、、ぜぇはぁ、、」」



おっと


カップ麺の宝の山を眺めていたらビィさんとソニアさんが戻って来た。



「ビィさんにソニアさん、お帰りなさい。試練はどうでした?」


「洞窟に入った途端に天井は落ちて来るし、大岩が転がって来たと思ったらハリボテだし、もの凄く臭い部屋に閉じこめられて脱出するには苦いお茶を飲み干さないといけないし、何なんですかここは?!」



あちゃ~


俺が挑戦した時よりかなり遊び心が追加された試練になってしまっている。


ただし、幾ら試練の内容を工夫しても、浮島に来る方法を用意してあげないと、現状では誰も来れないんだけどな。



「ドラゴン、、伝説のドラゴンが美女に、、美女がドラゴンに、、ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」



あれれ?


ソニアさんがぶつぶつ独り言を言って遠い目をしているんだけど、大丈夫か?



「あの、ソニアさんはどうしたんですか?」


「ソニアの事は心配無用です。伝説のドラゴンが美女だった事に軽いショックを受けただけですから」


「そうですか、試練は無事にクリアしたんですよね?」



第一の試練は浮島に来た時点でほぼクリア扱いだからな、あとはドラゴン姿のシエーネさんを見れば良いだけだ。



「2人ともギリギリだったけどクリアだよ。クリア報酬で魔力も3倍くらいになったし、ボクの加護も付けといたから、第ニの試練をクリアするのを期待してるからね♪」


「、、、は?あの、第ニの試練とは?」


「勇者の試練は全部で十ニ個あるんで、残りは十一個です。ちなみに各試練は担当の神獣が管理してるんで、出会ったらよろしく言っといて下さい。」


「伝説のドラゴンに匹敵する存在があと十一体も、、、(汗)」



勇者の試練は勇者の子孫がクリアする方がテンプレっぽいから、ビィさんには是非とも頑張って欲しい。


俺も影ながら手助けするから、ビィさんファイトやで!






つづく。

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