閑話 ペトルーシュカ・スコーピオン
side:ペトルーシュカ・スコーピオン
ぐぅぅ~
「ペトルーシュカさまぁ~、お腹が減りましたぁ~(泣)」
「ちょっとシェラ、お腹が減ったからって泣かないでよね!何回も旅はして来たけど、いつも我慢出来てたじゃない」
「うぅ~、シン殿に満足するまで食べさせて貰ったのが原因ですね、シン殿のご飯が恋しいです(悲)」
はぁ~
私の護衛のシェラは『英雄症候群』のお陰で凄く強いんだけど、副作用で超大食いなのよね
空腹だと能力が発揮されないからシェラには常に満腹で居て欲しいんだけど、旅に出ると手持ちの食材に限度があるから、常に満腹にするのは現実的じゃない。
商人が使う幌馬車なら沢山荷物が積めるけど、今回のように客車だと積み込める荷物が限られちゃうし
シェラの為だけの食材を積んだ馬車を追加で用意しても良いけど、保存の問題があるからそれもちょっと現実的では無い
まぁ今さらシェラ以外の護衛を雇うなんてあり得ないから、無理でも無茶でもどうにかするしかないんだけど。
「とりあえずコレでも食べてなさいよ」
「あっ?!それって池田屋商会がレシピ登録してる『干し芋』ですよね?」
「スコーピオン公爵領でも売ってたから買っといたの、腹持ちが良いって冒険者に人気らしいから。
でも干し芋に使う芋は眠れる森のエルフしか作ってないらしくて、量が限られてて即完売しちゃうから買うの大変だったのよ」
「ペトルーシュカ様がシン殿と結婚すれば食べ放題だから問題ありません!いただきまーす。モグモグモグモグモグモグ♪」
「干し芋が人気って事は池田屋商会も儲かってるという証拠だから良いんだけど、キャラバンシティに着くまでの繋ぎとしてお腹は大丈夫そう?」
「全然足りませんけど大丈夫です!」
「それは本当に大丈夫なの?まぁ空腹状態にさえならなければ良いけど。
シンさんには秋にキャラバンシティに戻るって言ったのに、もうすぐ秋も終わっちゃうわね」
「ひょうがはいでふほ、いふぉいほありまひぃたはは、モグモグモグモグモグモグ」
「ねぇシェラ、食べながら喋るのは止めなさいって何回も言ってるでしょ?何を言ってるか全然分からないから」
「モグモグモグモグ、んっぐ!、、はぁ、しょうがないですよペトルーシュカ様。
キャラバンシティに賊を送り込んで、シン殿やアストレア様を暗殺しようとしていた王都に駐在している貴族が根こそぎ捕まったんですから。」
「まったく王都の連中って馬鹿ばかりなのかしら?お陰でお父様やサジタリアスのおじ様達が後始末をしなきゃいけなくなって、私まで手伝わされちゃうし(怒)」
「普段は地味で目立たないですけど、こういう時は文官の人達の大変さが分かりますよね。それを見越してシン殿は孤児の子供達に難しい計算を教えてたんですかね?」
「うーん、シンさんにとってあの程度の読み書き計算が出来るのは『普通』の事のように考えてそうだけど」
シンさんが世話をしている孤児達は、10歳くらいで既に『わり算』の問題を解けるらしい
それを聞いた時はシンさんが子供達を王都に送り込んで、国を乗っ取る計画なのかとシンさんに聞いたらシンさんは笑って否定してたけど
『国を乗っ取るような面倒くさい事は絶対にやらない!』って表情をしてたわね(笑)
キキィー!
「あら?馬車が止まったけど休憩には早いわよね?」
「お腹の減り具合から休憩場所は3キロほど先です。」
「干し芋を食べてお腹の減り具合は変わってるでしょ?まぁいいわ」
チリンチリン♪
ガチャッ
「失礼致します。ペトルーシュカ様何かご用でしょうか?」
ベルを鳴らすと直ぐに客車の扉が開いてメイドが用件を聞いてくる。
「馬車が止まっているけど理由は?」
「前方を走る商隊の馬車が停車したのでこちらも停車しました。現在護衛の1人が確認に向かいましたので直に戻るかと」
「賊では無いの?」
「ここから見る限り商隊を護衛している冒険者達に混乱している様子はありません。あっ!護衛が戻って来ました。」
「ペトルーシュカ様に報告します!ジャイアントフロッグが街道を塞いでいて、馬車が通れなくなっています。如何しますか?」
「ジャイアントフロッグって森の中の泉に生息してる魔物よね?」
「仰る通りです。ジャイアントフロッグの素材目当てで狩ろうとした冒険者から逃げて街道に出て来たと思われます。かなり弱っているので自力で動く事は無いでしょう。ジャイアントフロッグを移動させるのに近くの街から応援を呼ぶにしても、今日はこれ以上進めません。」
「シェラ出番よ、あなたの力ならジャイアントフロッグを灰に出来るでしょ?」
「出来ますけどぉ~、アレは凄くエネルギー使うんですよぉ」
「無理は言わないけれど、このままだとキャラバンシティに着くのが2日くらい遅れるわよ?」
「そっ、それは駄目です(汗)今すぐジャイアントフロッグを灰にしますから、ペトルーシュカ様の今日のおやつ私に下さいよ?」
「はいはい、おやつくらいあげるわよ。そういう事だからジャイアントフロッグが見える位置まで馬車を移動させて、他の人達も退避急いで!」
「はっ!」
「私も準備に入ります。」
バチッ! バチッ!
馬車の屋根に移動したシェラが雷魔法の準備に入ったらしく、バチバチと音が聞こえて来る。
「行きまーす。トールハンマー!」
バリバリバリ、、、
ズドォーーーーン!
ひぃっ(汗)
はぁ~、いつ見ても恐ろしい威力の雷魔法ね、巨大なジャイアントフロッグが一瞬で跡形も無く消えるんだもの。
シェラが味方で本当に良かったわ。
「ペトルーシュカ様ジャイアントフロッグを灰にしましたから約束通りおやつ下さい!」
「分かってるわよ、今日のおやつはクッキーよ」
「やったぁー♪」
ふふっ
シンさんにニィナさんも元気にしてるかなぁ♪
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