閑話 モノセロスさん家族の旅 その2
side:ドーベルニーオ・ダニーホワイト・モノセロス
バルゴ王国に入国した私達は無事にキャラバンシティまで辿り着いた。
アリエス辺境伯領から入国したお陰なのか、獣人だからと言って差別を受ける事無く町の宿にも泊まれたのは良かったのだが
道中に出会った商人と、暇潰しと情報収集を兼ねた世間話の中で子供達が池田屋商会で働いているから会いに行くと言うと
「お子様達に是非よろしくお伝え下さい!」
と言って、何故か商人が持っていた商品をありったけ渡されてしまった。
子供達はまだ雇われたばかりの見習いだから困る。と説明したのだが
「なんだって?!池田屋商会に奴隷では無く雇われているだと!」
何故か凄く驚かれてしまった。
子供達が奴隷として働いていると思われていた事について、親としては悲しいが見下されたりした訳では無いから仕方なくはある
しかしその直後
私と商人の会話を近くで聞いていた冒険者や娼婦の女性達からも、「よろしく!」と言われてしまった。
私がよろしく伝えた所で何がどうなる訳でも無いと思うんだが
池田屋商会という商会は本当に何なのだろう。単純に儲かっていて勢いがあるという事なのか?
疑問は沢山あるがキャラバンシティに来たのだから、自分の目で直接見れば良いだけだ。
街に入る時に池田屋商会の場所を門兵に聞いたら、教会の近くにある1番大きな建物だから直ぐ分かるとの事だが、、、
あぁ~
確かに大きいなぁ、獣人国なら王族が住む屋敷より大きい
「なぁ母さん、獣人が勝手にあの建物に入って良いんだろうか?不敬だとか言われて兵士を呼ばれるんじゃないか?」
「ここは元男爵の腕の見せどころよ、頑張って!」
あっ、私が1人で行くのね?
まぁ子供達や妻に何かあると困るし、たとえ兵士を呼ばれても私だけならなんとかなるから異論は無いが
子供達よ
教会前に出ている屋台の食べ物が気になるのは分かる、先程から凄く良い匂いがしていて私だって気になっているんだからな!
だがしかし
せめて父を見送ってからにして欲しい(悲)
子供達の食欲が旺盛なのは良い事だと切り換えて
いざ!
池田屋商会へ、、、
「あら?お父様ですよね?」
むむっ?
背後から誰かに声をかけられたが、数年振りに聞く懐かしいこの声の主を私が忘れるはずが無い!
「コリー!」
「やはりお父様でしたか、こちらに来るなら事前に知らせておいて貰えれば歓迎の準備をして待っていたのに」
「そんな事は構わん!元気そうで何よりだ♪ダックスとポチも元気か?」
「ええ、2人とも日が暮れる前には仕事を終えて帰って来ると思いますけど、お母様も一緒なのですか?」
「今は子供達と一緒に教会前に出てる屋台を見てるよ。そんな事よりも、手紙で弟や妹達も池田屋商会で働けると書いてあったが本当か?」
「本当ですよ。池田屋商会は人手不足ですし、お父様が獣人国の男爵という事で身元の保証もされてますから」
「あぁ~、その事だが爵位は返上して来たんだ」
「・・・は?」
「驚くのも無理は無いが、既に獣人国で爵位はお飾りになっていたし、今年の冬は越せないくらいに生活が厳しくなっていたから、一か八かキャラバンシティに移住をしようと思ってな」
「そうですか、まぁポチから話を聞いてギリギリの生活をしているだろう事は想像出来ましたから、仕送りをした訳ですけど」
「仕送りのお陰で移住を決意出来たから本当に感謝しているよ。しかし弟や妹達は幼い故に働くにはまだ少し早いと思う、そこで私と母さんを池田屋商会で働かせて貰えるように口添えしてくれるとありがたい」
「大丈夫ですよ、仕事は配送夫で良いんですよね?」
「ん?池田屋商会は貴族を相手にするような大きくて立派な商会なのだろう?池田屋商会で働きたい人は沢山居るが、なかなか雇って貰えないと聞いたぞ」
「それは信用出来る人が少ないからですね、爵位を返上したとしても獣人国の元男爵のお父様なら問題ありません。さっそく手続きをしに行きましょう♪」
「えっ?ちょっ、待てコリー!そんな簡単に?」
「池田屋商会はとにかく人手不足なんです。体力が必要な配送夫の仕事と獣人の相性も良いですから、大歓迎です!時間が勿体無いから急ぎますよお父様!」
「せっ、せめてもう少し、心の準備をさせからにしてくれぇー(汗)」
私は今、コリー、ダックス、ポチと一緒に池田屋商会で配送夫として頑張っている。
まさか即採用されて翌日から働く事になるとは思わなかったし、直属の上司が我が子なので少し複雑な気持ちだが、給金が良いから何も問題は無い♪
更に、妻もパートタイマーとして採用されて働いている。
パートタイマーの意味は分からんが、午前とか午後とかある程度働く時間を選べるらしく
子育てを優先しながら働けるので喜んでいたな♪
あっ?!
コリー、ダックス、ポチ!
上司権限とか言って今日のおやつのチーズケーキを
私の分まで食べようとするのは止めろぉー(泣)
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