第388話 決定事項?
『トンテンカン、トンテンカン♪トンテンカン、トンテンカン♪』
現在キャラバンシティ旧領主邸の庭では、ドワーフの皆さんがとんでもないスピードで次々にプレハブ仮設住宅を完成させている。
サダルスウド侯爵一家とステフ様以外にも、メイドさんや護衛の兵士を合わせて50人が寝泊まり出来るようにしたし
これも無駄に広い庭を作ってくれたキャラバンシティの旧領主様のお陰だよ、本当にありがとう♪
今は何処で何をしているのか全然知らんけどな(笑)
「シンさーん、指定された数は組み立て終わったけどこれで良いかしら?」
さすが高級なウィスキーを報酬にしただけあって、ドワーフの皆さんはあっという間にプレハブ仮設住宅を完成させてしまった。
まだまだ組み立て前のプレハブ仮設住宅は残ってるけど、暇な時にでも組み立てて収納に入れておこう。
「問題ありません。オリビエさんありがとうございました。報酬のウィスキーはここで出しますか?」
「今は旧領主邸でサダルスウド侯爵がアストレア様と会っているんでしょう?ここでウィスキーを貰うと宴になっちゃうから不味いわね」
「あぁ~、それともうすぐアリエス辺境伯も到着されるらしいので、尚更不味いでしょうね」
「申し訳無いけど後で工房に持って来て貰えるかしら?」
「良いですよ、遅くなるようなら商会の従業員に持って行かせますから」
「急がなくて良いわよ、シンさんに貰った組み立て式の『家』の研究をしなくちゃいけないんだし♪」
酒以外の事でこれほど良い笑顔をしているのを見ると、ドワーフという種族は職人気質なんだなぁと再確認させられるよ。
「ご主人様ぁー!」
ん?
声がした方を見るといつもは配送夫として働いている犬耳獣人のポチが走って来る
「どうした?」
「アリエス辺境伯がキャラバンシティに到着されました!直にこちらに来られると思います。」
「分かった、ポチにマックスもお疲れ様。2人は戻って休んで良いよ」
「「失礼します!」」
池田屋商会の犬耳獣人は走るのが得意だから伝令役のような事もしているんだけど、そろそろ各所に無線機を置くべきかな?
まぁそれは追々ゆっくり考えよう。
「それじゃあシンさん、私達も帰るわね。ここでゆっくりしてると貴族の面倒事に巻き込まれそうだから」
「貴族との付き合いも大事じゃが面倒が嫌ならほどほどにしておくんじゃぞ。今のお前さんなら相手が王族だろうと、自分の意見を押し通すだけの力がある事を忘れるな」
いやいやいや、ガゼル親方も急に何を言い出すんだ?
王族相手に自分の意見を言うとか恐ろしいわ!
「ワハハハハ♪ガゼルの説明が下手くそですまんなシン殿、あやつが言いたいのは『友』の為ならば王族を殴るくらいお安い御用!と言いたいんじゃよ」
出来れば王族は殴らないで欲しいけど、俺とガゼル親方が『友』か
「『友』の言葉、確かに聞きました!ありがとうございます!」
「やっ、やめんか(照)お前さんはいつも通りにしてればそれでええ」
「ふふふ、照れてないでさっさと帰るわよ。やる事がいっぱいなんだから!じゃあねシンさん」
「うむ、それとお前さんの結婚式もワシ等が手伝うから安心して待っておれ!」
「結婚式が終わればまた屋台で飲もう。さらばじゃシン殿」
「はい、さようなら~」
オリビエさん、ガゼル親方、ジャックおじいちゃん、ドワーフの職人の皆さんが帰って行くのを見送るけれど
どうやら俺の結婚式が近々行われるのは決定事項らしい。
メリルと一緒に日取りはどうしようとか、式場はどうしようとか、話し合う楽しみが無くなってしまったけれど
元世界だと結婚式をどうするかで意見が合わずに喧嘩になったり、途中で面倒くさくなって相手に丸投げして
これまた喧嘩になってそのまま別れるカップルは、俺の数少ない知り合いでも何人か居たからな
誰かが勝手に決めてくれるなら、それはそれで有りなのかもしれない。
とは言え俺も丸投げしてメリルと喧嘩したくないから、我が家に帰ったらメリルの意見をちゃんと聞かないとな!
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。