第377話 苦手の克服は難しい
商業ギルドでアカリさんとユーリさんと別れ、俺達はゲオルグ様の邸に向かっている
今日はもうすぐ日が暮れてしまうのでキャラバンシティに帰るのは明日にしたから、ゲオルグ様の邸に泊めて貰おうという魂胆だ(笑)
今回は結婚の報告もあるからゲオルグ様とソレイユ様には絶体会いたいんだけど
俺はすっかり忘れていた
貴族に会うには先触れが必要だという事を!
アポ無しで訪ねて行っても怒られはしないだろうけど、相手は侯爵様だから忙しくて会えない可能性はあるだろうなぁ
などと考えていたらあっという間に邸の前に到着して、いつものように門兵君に訝しげに見られている
毎度の事だけどマジでこの瞬間が1番緊張して慣れやしない、まあ慣れるほど貴族の邸を訪ねたくは無いけどな!
とにかく門兵君に声をかけないと始まらないから、こっちを見ている門兵君に声をかける
「こんにちは、池田屋商会会長のシン・ナガクラと申します。」
「池田屋商会?」
うーむ、門兵君は微妙な反応だな
初めて見る顔の門兵君だし、池田屋商会の名前も知らないのかな?
「主様、ギルドカードを提示して下さい」
「あぁ、そうか!すいませんねぇ毎回忘れるんですよね。はいどうぞ、ギルドカードです。」
「では、拝見します。、、、カードは本物ですね、用件は何ですか?」
「ゲオルグ様に会いに来たんですけど居ますか?もし留守でも御家族のどなたかに取り次いで頂きたいのですが」
「むむっ?!御領主様をそのように呼ぶとは、、、少々お待ち下さい!」
ほっ
一瞬不敬だとか言われて殴られるのかと思ったけど、門兵君はメモのような物をペラペラめくって何かを確認している
「あのう、私が怪しく無い者だと確認出来ましたか?」
「あ゛っ(汗)、、、もっ、もももも申し訳御座いませんでしたーー!ナガクラ様がソレイユ様の大事なお客様だと知らず失礼な態度を取ってしまいました!」
「は?、、いや、えっと、普通の対応でしたので問題は無いと思いますよ」
「ありがとうございます!では急ぎお知らせして参りますので、ナガクラ様はこのままゆっくりと玄関までお進み下さい!」
言い終わると門兵君は全力で邸に向かって走って行った
重要な客の特徴を書いたメモを持ってるなら、もう少しちゃんと覚えておいて欲しかったけど
そんな事より、俺はゲオルグ様の客じゃなくてソレイユ様の客なんだな(笑)
門兵君に言われた通りにゆっくり玄関に向かうけど、手を繋いで歩いてるコニーとフラニーの体力が限界っぽい
回復魔法を使えば疲れも眠気も一瞬で吹き飛ぶけど、こういう心地好い疲労を経験するのも大切だろう。
実際に経験しないと分からない事って沢山あるからな。
「コニー、フラニー、もう少しだから頑張れー!」
「「はぁ~い」」
「シンさぁーん♪」
あっ!
ソレイユ様がわざわざ出迎えに来てくれてるよ
「ソレイユ様こんにちは、突然で申し訳無いのですが今夜泊めて貰えませんか?」
「シンさんならいつでも歓迎よ♪確認だけど、ちゃんとキャラバンシティには帰れたのよね?」
「はい、一旦帰ってから別件でまた来ました。それとソレイユ様とゲオルグ様にも報告があるのでお時間を頂きたいのですが」
「あの人はエビの養殖の件で外出中だから夕食まで戻らないのだけど良いかしら?」
「構いません、急ぐ事ではありませんから。えっと、コニーとフラニーが限界なんで部屋に連れて行きたいんですけど」
「あらあら♪本当に限界みたいね(笑)」
「コニーとフラニーを寝かせたらソレイユ様のお部屋に伺いますね。新商品になりそうな物を持って来たので、是非意見を聞きたいので!」
「ふふふっ、そういう事なら急いでお茶の用意をしなくっちゃ♪シンさんまた後でね!」
「またあとで~」
言うが早いかソレイユ様は駆け足で邸の中に戻って行ってしまった
相変わらずフットワークが軽いねぇ、って感心してる場合じゃないこっちも急がないとな
良し!
コニーとフラニーをベッドに寝かせたし
「ニィナ後は任せた」
「はい、お土産を期待しています♪」
「待て待て!ソレイユ様の部屋に行くだけでお土産なんて何処で手に入れんねん!」
「主様なら可能だと信じております。」
「はいはい、努力しまーす。」
まったく、信頼を盾にお願いされたら嫌とは言えんでしょーが!
だがしかし
お土産1つでニィナの笑顔が見れるなら、お土産なんていくらでも持って来るけどな!
ニィナのお土産を考えつつ、ソレイユ様の部屋に
れっつらごー♪
つづく。
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