第311話 カニと酒のまりあーじゅ
現在サダルスウド侯爵家は、てんやわんやの騒動になっている
原因はタコヤーさんが持ってきた海蜘蛛ことカニを、新しい食材だから1度創造神様にお供えした方が良いって俺が言ったからだ。
本当の理由は地球の神様である、ちーちゃんさんがカニを食べたそうだったから、俺がサウスビーチに滞在している間に新鮮なカニを調達してお供えする為だったんだけど、、、
サウスビーチの新しい名物になると確信したソレイユ様を始め侯爵家の皆さんがやる気を出してしまい
カニ籠の材料及び籠職人の確保
カニの生息地の調査
巣潜りで安全にカニを捕る為の道具の開発
カニを生かしたまま置いておく生け簀の製作
等々の手配をする為に侯爵家内は緊急の連絡を受けてやって来た各ギルドの幹部達が入り乱れて
最早カオスです(汗)
とっ、とにかく俺に出来るのは美味しいカニ料理を作る事だけだ!
「それじゃあみんな、よろしくお願いします!」
「「「「「はーい♪」」」」
とりあえず我が家のみんなで役割り分担して作業をして貰っている。
だがしかし
いくら大根並にデカくて太い脚があるカニと言っても
呼び出された各ギルドの幹部まで含めると、ティースプーン1杯分のカニの身くらいしか食べられないだろう
そこで考えたのが、ゲオルグ様一家と我が家のみんな、タコヤーさんに執事のセバスさん、侯爵家の料理長
以上の人達には焼いたカニの身を試食して貰って
他の人達は申し訳無いけどカニの殻を煮込んで出汁をとり、卵でとじたカニ玉スープで我慢してもらう
スキルの「店」でこっそり缶詰のカニ身を購入してスープに入れたのは内緒だけどな!
これでなんとか全員にカニの味を知って貰えるだろう。
今回は既にカニが弱っていたから万が一を考えて生食は避けたけど、是非とも生のカニは味わって貰いたい
そして俺もカニ刺は食べたい!
「おにいちゃーん、そろそろ焼けるよぉ」
「はーい、今行きますよ~っと」
スンスン♪
良い感じにカニ汁がプクプクしててスゲェ旨そうだ!
「ねぇダンナ、もう食べて良い?駄目?」
「ケイトの気持ちは分かるけど、まずはゲオルグ様に持って行ってからだな」
「むぅ、それならしかた無いかぁ、スミレもうちょっと我慢だって」
「うん」
あらら
尻尾をブンブン振りながらケイトと一緒に焼けたカニの匂いをクンクンしていたスミレが少しだけ悲しそうだ
こりゃあ早くゲオルグ様達にカニを持って行かないとな
「ソレイユ様、ゲオルグ様、お待たせしました焼きカニです。」
「焼いてる最中から良い匂いがしていたので待っていたぞ!皆も熱々のうちに食べなさい、頂きます!あーん、、はふはふ、はふはふ、 、、うむ、旨い!」
ソレイユ様、マリーナ様、エレーナ様、ミレイユ様も、はふはふしながらも笑顔だから、この世界の人にもカニの味は受け入れられそうだな
ゲオルグ様がカニを食べたのをきっかけに、我が家のみんなやタコヤーさんもカニを食べ始めた
各ギルドの幹部の皆さんはカニ玉スープだけど、、、
真剣な顔で話し合いながら必死に何かをメモしているから、スープの販売計画でも考えているのかもしれない
そう言えば、サウスエビの殻を煮込んでも美味しいスープが出来るんだけど教えて無かったよ
今さら言い難いなぁ(汗)
キャラバンシティに帰る時にでもこっそりタコヤーさんに教えておこう!
さてと
もうひと品こっそり作っていた物が良い感じになったし、ゲオルグ様に持って行きますかね♪
「ゲオルグ様、この後の予定が無ければ試飲して欲しい酒があるのですが」
「ほぉ♪シン殿がわざわざ勧めてくれるのだ、どんな仕事よりも優先せねばなるまい!」
「えぇーと、そこまでの物では無いので仕事を優先して欲しいのですが(汗)」
「わはははは♪なぁに心配せずともこの後はシン殿達と夕食を食べるだけだよ」
はぁ~
ゲオルグ様とは気軽に話す仲とは言え、小粋な侯爵ジョークは笑って良いのか判断に困るんだよなぁ
俺が作ったのはカニミソと日本酒を混ぜて燗酒にした『甲羅酒』、残念ながら甲羅には入って無いけどな
タコヤーさんが捕まえたカニの甲羅を使ったら、横綱昇進のお祝いの時に酒を入れるデカい杯みたいになっちゃうからフライパンで温めてみた。
「少し見た目の色は悪いですけど温めた酒です、どうぞ」
「前回は氷で冷やした酒で今回は温めた酒か、まったくシン殿といると驚いてばかりだ、そのお陰で退屈せんがな(笑)」
「アハハ、それ本当によく言われますね」
「では頂くか、、んぐんぐ、、くぅーーーーー、旨い!喉を通る独特の感覚が堪らんな!」
ほっ
カニ味噌は好き嫌いが別れるから少し心配だったけど気に入って貰えたか
しかしですね
ゲオルグ様が酒を飲んだせいか、他の皆さんも酒を飲み出しちゃって、これ宴会になるんじゃね?
しかも、出汁をとった後のカニの殻を直火で焼いてつまみとしてバリバリ食べてるし(汗)
美味しいなら良いんだけどね
とりあえず俺はニィナとカスミに協力して貰って追加で料理を作りますか!
つづく。
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