第295話 運動したらご飯を食べよう♪

ケイトとリィファさんの勝負は、見事ケイトの勝利で終った。


俺の手にはケイトによってスライスされたペラペラの銅貨がある


これを斬撃を飛ばしてやったらしいんだけど、俺にはケイトの動きが全然見えなかったから説明されてもなんだかなぁ(笑)


ステフ様でさえ銅貨をスライスした瞬間は見えなかったらしいし、ケイトもニィナもそんなに強くなってどうすんのよ?


護衛は強いに限るけどさぁ



「ダンナ、ただいまぁ~」


「お帰りケイト、凄い技だったぞ!全然見えなかったけど(笑)」


「えへへ~♪」


「でもさぁ、あんな凄い技を使わなくても、ケイトなら銅貨の千切りくらい出来たんじゃないのか?」


「出来たかもねぇ、でもそれをしちゃうとこの剣のお陰って言われちゃうからさ」



ケイトの剣は浮島で手に入れたミスリル製の剣で、柄にハミングバードが彫られていてその効果で素早さが上がる効果付きだ♪


ケイトが言うには伝説級の業物(わざもの)らしい



「良い剣を持ってる事も含めてケイトの実力の内だと俺は思うけどな。


だからこそあえて銅貨をスライスしたのか、あの薄い銅貨の真ん中を正確に斬って見せる事で、素早さだけじゃないって言いたかったんだろ」


「まっ、まぁね(照)でもこういうのは実力を隠して引き分けくらいにした方が良いんでしょ?ニィナみたいに」


「俺には難しい事は分からんけど、ケイトのスゲェー格好良い所が見れたから俺は満足だよ♪」


「格好良い?そっか、格好良かったのかぁ、えへへへへへへへ♪」



それにしてもニィナはあれで手加減していたのかよ、条件付きの勝負だったから全力を出し難くはあっただろうけど



「ご主人さま~(悲)」


「スミレどうした、ってお腹空いたんやな?」


「うん」



なんてこった!!


朝飯を食べずに手合わせをしていたせいで、俺のズボンの裾を掴んでいるスミレの耳と尻尾が空腹のせいでぺしょんとしているじゃあないか


よく見たら他のみんなも空腹なのだろう表情が暗い、これは我が家のピンチ!




「ステフ様、今すぐ朝食にしましょう!」


「良いね♪せっかくだからサウスビーチに行っちゃう前に、もう1回ナガクラ君の料理が食べたいなぁ」


「待ってやした!こういう事もあろうかと準備は万端でさぁ♪肉も野菜もたんまり仕入れて来やしたぜナガクラ様!」



わぁお!


今まで何処に居たのかセルジオのとっつぁんを先頭に料理人とメイドの皆さんが食材と調理器具を持ってやって来た


続いて兵士の皆さんがテーブルやら椅子やらなんやらを持って来て、庭に並べて準備を始めたじゃないか


しかし、今からこの人数分の料理を作るのって大変なんだが(汗)



「あれ?ねぇセルジオ、その手に持ってる甕(かめ)って」


「へい!ステファニー様の部屋から持って来た豆板醤ですから心配無用です♪」


「えーっと、勝手に部屋に入って黙って甕を持って来た事は不問にするけど、その豆板醤は残ってた最後のひとつを譲って貰った物だから、無くなると次に出来上がるまで待たないと駄目なんだけど」


「後生大事に持ってたって美味しい食べ方が分からないと意味が無いでしょう、それならナガクラ様が居る間に料理に使って貰った方が良いに決まってますぜ!」


「それもそうか、という訳で豆板醤を使った料理よろしくねナガクラ君♪」



セルジオのとっつぁん、さすがにステフ様の部屋に勝手に入るのは駄目だと思うよ、そのお陰で豆板醤を使えるから良いけど


短時間で大量に作れる豆板醤を使った料理・・・



よし!


野菜が大量にあるならチヂミが良いな、肉も大量にあるから牛肉入りチヂミも作ってみよう、そんなチヂミが存在するのかは知らんけど(笑)



チヂミは、小麦粉、片栗粉、たまご、に細かく切った野菜を混ぜて焼くだけだし、お好み焼きと違って薄いから直ぐに焼ける


大きい鉄板の全面に生地を流し込んで片面が焼けたら、適当に切ってからひっくり返せば1度に大量に作れる!


タレは豆板醤ベースのピリ辛ダレと酢醤油の2種類用意して、デザートは材料を混ぜて冷やして固めるだけで簡単に作れる杏仁豆腐


杏仁豆腐は最初に作って俺の魔法で出した氷で冷やしておけば、食後のデザートを出す頃には程よく冷えるだろう



チヂミだけだと物足りないからビビンバ丼も作ろう、炊いた米は俺の収納にたんまりストックがあるし


細かい作り方は分からんけどゴマ油と豆板醤があればそれっぽい物は出来るだろ


カスミとスミレも豆板醤のピリ辛程度なら問題無く食べられる事が分かったし、これで我が家の食卓は更に豊かになるな♪








はい!


優秀な皆さんのお陰であっと言う間に朝食の完成だ♪



「ナガクラ君!凄く食欲をそそる匂いと見た目だね♪早く食べよう!」


「はいはい、それじゃあいただきまーす」


「「「「「いただきまーす♪」」」」」




さてさて、チヂミとビビンバ丼は皆さんの口に、、、合ったみたいだな


ステフ様とセルジオのとっつぁんなんて、大皿に米を山盛り乗せたビビンバ丼をかき込んでるもの、あれはもう丼では無いけどな(笑)


メイドの皆さんにもチヂミとビビンバ丼は概ね好評みたいだし



朝食は『大成功』と言って良いだろう。



我が家のみんなと旨い飯さえあれば、他には何も要らないと思ってたけど


気の合う『友』と一緒に食べる飯ってのも良いもんだな♪






つづく。

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