第271話 商業ギルド・ケバルライ出張所
みんなで仲良く屋台で買い食いしつつ、ぶらぶら歩きながら本日の宿を用意してくれているであろう、『商業ギルド・ケバルライ出張所』にやって来た。
出張所なだけあって建物はこじんまりとしていて、商業ギルドの看板が無ければ普通の民家との違いはほぼ無い
というより空いてた民家をそのまま商業ギルドとして使ってるんだろう。
町の規模に対して人が集まり過ぎて新しく建物を建てるのが間に合ってない感じだな。
砂糖を求めて商人が集まれば必然的に護衛の冒険者も集まる
そうして集まった冒険者の為に、装備のメンテナンスが出来る鍛冶屋が必要だろうし
人が増えれば娼婦もやって来るし住む場所だって必要になる、今まであった飲食店だけでは足りなくなって増やさなきゃならないしで
好景気ゆえに色んな物が不足してる今なら、赤ん坊が商売を始めたって絶対儲かるに違いない。いわゆる『砂糖バブル』ってやつかな。
だからだろう商業ギルド内はかなりの混雑で受付にも人が凄く並んでいる
俺は商業ギルドというよりはギルドマスターに用があるんだけど、職員の数も少ないみたいだしここは素直に列に並ぶか。
受付の職員さんが優秀なのかさほど待つ事なく順番が来た
「次の方どうぞ」
「はい、こんにちは。わたくしシン・ナガクラと申します。
キャラバンシティの商業ギルドマスター、ミリーさんから連絡が来てると思うのですが、こちらのギルドマスターに会いに来ました。ミリーさんからの紹介状もあります、どうぞ確かめて下さい。」
「キャラバンシティのミリーさん?あそこのギルドマスターはそんな名前では無かったような」
「あっ!ミリーさんじゃ伝わらないのか(汗)」
これはやっちまったなぁ、ミリーさんの本名何だったっけ?
本名は初対面の時に聞いたはずだし、ウェンディさんは今でもミリーさんの事を本名で呼んでたはずなんだよ
やべぇよ、完全にど忘れした(汗)
「もう!おにいちゃん、名前はちゃんと覚えてないと駄目だよ。ミリーさんの本名はミリアリア・E・スリーピングフォレストだよ」
「さすがメリル助かったよ♪職員さん聞いての通りミリアリアさんでした。」
「確かにキャラバンシティの商業ギルドマスターはミリアリア様ですが、眠れる森のエルフであるミリアリア様があなたに紹介状を書いたというのはどうにも信じ難いですね
文書の偽造はさほど難しくありませんし。」
えぇー?!
マジかよ、ミリーさん話が違いますよー!
だからといって紹介状が本物である証拠なんて無いしなぁ
「ねぇおにいちゃん、こういう時はギルドカード見せるんだよ」
「おっと、そうだった!あまりにもカードを使う機会が無さ過ぎて忘れてた、またまた助かったよメリル
職員さんこれが私のギルドカードです。」
「確認します、、、シン・ナガクラ様ですね。本人確認が出来ましたので紹介状が本物かどうかも含めてギルマスに渡して判断を仰ぎます。
ここで少々お待ち下さい。」
ほっ
職員さんにはまったく信用されなかったけど、これでやっとギルドマスターに会えるよ
『ドタドタドタドタドタドタ!ズザザァーーーーーー!!』
「申し訳ございませんでしたーーー!」
えぇー?!
今度は何だよぉ(汗)2階から凄い勢いで中年のオジさんが走って来たかと思えば、最早芸術と呼べるほど綺麗なスライディング土下座をされてしまった
まぁ、目の前のオジさんの後から遅れてさっきの職員さんが走って来たから、この人がギルマスなんだろうけど
「とりあえず顔を上げて下さい。あなたはいったい、、、」
「申し遅れました、商業ギルド・ケバルライ出張所のギルマスをしております、ヴォルネツィオと言います。
あなたが池田屋商会会長、シン・ナガクラ様ですね?」
「そうですけど」
「受付職員の無礼をどうかお許し下さい。貴様も早く謝らんか!」
「先程は本当に申し訳ありませんでした。ナガクラ様が池田屋商会の会長と知らなかったとはいえ、ここは私の首ひとつでどうか納めて頂けないでしょうか」
「いやいやいや、ちょいと待ちなさいよ(汗)こちらも池田屋商会の事は言って無かったんですから、職員さんは当然の対応をされただけでしょう。」
「この者はつい先日こちらに配属されたばかりで、連絡事項の伝え忘れという単純なミスが原因と思われます。
ここはギルマスとして責任をとる為にも私の首を」
「いらんから!むしろこんな些細な事で責任とらせたらこっちが困るから」
「そこまで強く仰るなら訓告処分に留めさせて頂きます。寛大な対応を心より感謝致します。」
「それより今日の宿を用意してくれているんですよね?」
「はい、勿論御用意させて頂いております。しかしながら宿屋は常に満室状態でして、用意出来たのが改築中の店舗なのです。
昼間は改築作業で少しうるさいかもしれませんけど、ひと晩過ごす程度なら問題は無いかと思うのですが」
「そこで構いません、場所は何処ですか?」
「扉を出て左隣の建物です。それでですね、失礼な対応をした手前言い難いのですが、よろしければ少しお時間を頂けないでしょうか?」
来た来たー!
やっと来ましたよ、あとは砂糖を使った料理か菓子のレシピを登録すれば、ケバルライでのミッション終了だ♪
「私は構いませんが、、、みんなはどうする?先に宿に行っとく?」
「少し疲れたからゆっくりしたいな」
「じゃあおやつでも食べてゆっくりしてていいよ。ケイト受け取れお茶セットだ、カスミには今日のおやつセットな」
「あいよ~」「はい!」
俺は収納から野営用に用意しておいた、カセットコンロ、急須、茶葉等々を入れた箱と
おやつを適当に選んで詰め込んだ箱をそれぞれケイトとカスミに渡す。
「ねぇねぇダンナ、今日のおやつは何?」
「えっと、今日はクッキーと大福餅とポテチだな」
「やったぁー♪」
「ヴォルネツィオさんお待たせしました、日暮れまでに終わらせて下さいね。」
「ありがとうございます!では応接室に案内します、こちらです。」
つづく。
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